鈴木信夫の詩の世界 ~筋ジスと向き合った40年~

筋ジストロフィーと向き合い、2011年5月、40歳の若さでこの世を去った詩人鈴木信夫の心に響く詩を紹介します。

鈴木信夫の「詩集」

これまでに出版した詩集は                                                     「マイナスからのスタート」(2001年文芸社)                                           「君に いい風 吹きますように」(2004年神奈川新聞社)                                               「生命いっぱい」(2007年神奈川新聞社)                                                      「こころのごちそう」(2012年神奈川新聞社) の4冊と                                                    浅田美知子さんとの共著の絵手紙詩手紙                                                                   「風のように花のように」(2010年 日貿出版社)                                        があります。ホームページでも紹介していますのでご覧下さい。                                               

わたしを呼び止めて

2017-08-10 | 
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鈴木信夫の詩手紙を中心にした作品から


2008年から絵手紙作家の浅田美知子さんとの交流が始まりました。
詩手紙そのものや書き加えたコメントから選んで紹介してゆきます。
一部、詩集に載せたものもありますが、未発表のものが中心です。
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毎日が自分との戦いだった日々。
今の自分と以前の自分とを見つめながら、納得出来たりできなかったり、心は揺れ動いていました。
立ち止まって考えることが必要だと感じていたのだろうと思います。

このころは、唯一動く指先でパソコンポインターを動かし文字を拾って書いていました。
そこで、詩手紙はこんなコメントになりました。

「気温が急に下がって、手がかじかみます。
 一文字一文字のたいせつさが身にしみます。」


        わたしを呼び止めて
                                    2008年9月

わたしを呼び止めて
わたしの心を呼び止めて
あの時、あそこにいたわたしの
がさがさに乾いたわたしの想い
じりじりと焼かれたわたしの想い
ないまぜになって、どこにも持っていきようもない想いがあって
なんだったのだ、この想いたちは
いまふりかえって思えば
いまのわたしから見てみれば
あの時、あそこにいたわたしの
苦しみはわたしの空気にとけはじめ
悲しみはわたしの空気にくいこみはじめた
いつしかわたしは苦しみと一つとなり
いつしかわたしは悲しみと友となった
そのまま、ここまで来たのだ
見て見ないふりをしていたい
が、それはわたしを否定するのと同じ
だから、このままかかえていく
もう一つの宇宙に翔ぶ時が来るまでは

   詩手紙2008.9.29
   
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作品を引用するとき

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