郷が杜備忘録

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金融庁戦記(大鹿靖明著)

2022-08-13 | 読書

金融庁戦記を読んだ。

この本は、2021年10月の発刊。副題は「企業監視官・佐々木清隆の事件簿」である。

私がこの本に関心を持ったのは、古い朝日新聞を見ていて「企業監視20年」という大鹿氏が書いた連載記事を見たからである。

その後たまたま図書館に行ったらこの本があり手に取ったということである。

 

ここ最近政治の劣化が言われて久しかったが、あわせて経済界における劣化もすごく、大手の企業も続々不祥事が表面化している。

それらは、1990年代のバブル崩壊に始まり、不良債権の処分などから、企業の業績がおかしくなっていったのだと思う。

2009年のリーマンショックでも、日本は少なかったとはいえ影響を受け、その後も震災復興や災害対策にうろうろしているうちに、

経済は勢いを取り戻せず、落ち込んだままであった。

この間世界は大きく変化してゆき、デジタル化によりGAFAなどが大きな力を持ってきたなか、その変化に追いついていけなかったと思う。

その間をぬって新興企業や外国企業が侵出し、法律の隙間をぬっていろんな悪事を働いてきた。

そしてそれを防ぐべき、監査法人や社外取締役も役割を果たせなかったのではないかと思う。

そのような今までの事情を、東大を卒業して大蔵省に入省した佐々木清隆が内部事情を語ったものがこの本である。

 

佐々木氏の入省したのは1983年で、中曽根内閣で、蔵相は竹下登であった。配属は大蔵省銀行局調査課であった。

ちなみに前年の82年入省組は異色で、片山さつき氏や福田淳一氏、佐川宣寿氏がいたという。

佐々木氏は他の秀才とは違った経歴で、立教中から開成高校に入っていて、中学校でキリスト教や英語にの馴染み、ESS部で

海外生活にもあこがれていたという。

 

この本は、1983年頃から2021年のまでの金融関係の不祥事や事件について書かれていた。

私が働いていた時期とも重なり(金融関係ではありませんが)今まで詳しく知らなかった内実も知ることができ参考になった。

 

その中身というのは、大蔵省の接待汚職や外資のクレディ・スイスの暗躍、ヒルズ族の栄枯と鎮圧、監査法人の解体、租税回避地の

私書箱957号、東芝の不正会計、オリンパスの飛ばし、仮想通貨、スルガ銀行や山口FGの問題などいろいろあった。

それらを見てくるにやはりリーダーの姿勢、そしてそれを監視する部署の姿勢と全体を取り仕切る監督箇所や国の責任というのが

大きいと思った。

リーダーは嫌な声にも耳を傾けなければならないし、不正には厳然と対処しなければならない。

不正のごまかしをするとか、うその発言をするとか、諫言する部下を異動させるなどするのは、リーダーとしてやってはいけないことである。

そして、「頭が腐れば尻尾も腐る」といわれるような状況は早くに解消しないといけないと思っている。

 

最後に読書とは別だが、3日前に4回目のワクチンを受けてきた。もう受けたくはなかったが、これだけ拡大してくると心配になってきた。

次の日は副作用で熱も出て一日だるかった。こちらの感染症対策も3年目になるのでそろそろ落ち着いてもらいたいと切実に願っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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