先日古本市で買った本である。
発行は昭和56年11月、昭和56年の「群像」に掲載されたものを単行本にしたものである。
井上靖さんの手元にあった和綴五帖の手記を元に整理したものという。この手記は、利休の弟子であった三井寺の本覚坊というものの
手記ではないかと思われるので「本覚坊遺文」と題された。
利休賜死事件については以前に、山本兼一さんの「利休にたずねよ」を読んでいたので、ある程度知っていたが、
もちろん山本兼一さんより以前の著作で、利休の死に関して弟子から見たところのことである。
一章から五章そして終章があり、一章では東陽坊さまとの話、二章は江雪斎さまとの話、三章は古田織部様との、四章は織田有楽様との話と
続き、五章では千宗旦様との、そして終章では本覚坊が年老いて亡くなる年になったときに、利休の死の理由について本覚坊が考えたことを
まとめている。
井上さんの文章は、きれいな日本語で古い言葉を丁寧に使われているので、読んでいて気持ちが良い。
また、お茶に関する道具や言葉など古い、今では使われないような言葉がたくさんでてきて勉強になった。