葉室麟さんの小説を読んだ。
葉室さんは2017年12月に亡くなった。66歳という年齢で、まだ亡くなくなるような年ではないと思った。
佐藤雅美さんとともに、好きな作家だったのでまだまだ活躍が楽しみな人であった。
今回の作品は、4つの小説が収められている。
「津軽双花」
「鳳凰記」
「孤狼なり」
「鷹、翔ける」
いずれも、戦国時代から江戸時代にかけての話であった。
「津軽双花」は、津軽信枚の正室を争う、辰姫と満天姫。
辰姫は石田三成の娘で、三成の死後、北政所(高台院)の養女として津軽家に嫁ぐ。
満天姫は、徳川家康の養女として、信枚のもとへ。
津軽家の存続もともなって、女性同士のこころのたたかい。
関ケ原の合戦から大坂の陣へ、その裏側にはこんな話もあったのかという、驚きがあった。
「鳳凰記」は淀君と大坂の陣。
「孤狼なり」は石田三成と安国寺恵瓊。
「鷹、翔ける」は明智光秀の重臣、斎藤利三。
いずれも、本能寺の変から関ケ原の合戦を経て、江戸幕府成立までの間の話であった。
「津軽双花」では、初めて津軽家の経緯を知った。秀吉に取り立てられた津軽家の、徳川政権内での生き残りの
たくましさにも興味を持った。
「鷹、翔ける」の斎藤利三も興味を持っていた人で、別な本も読んでいたので、改めて葉室氏の作品で
本能寺の変と斎藤利三の存在の大きさを感じた。短い作品であったがもっと関心を持たれても良いと思った。