郷が杜備忘録

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「20世紀日本」を創った10人、駄目にした10人

2019-02-13 | 日記
「20世紀日本」を創った10人、駄目にした10人
 鼎談:半藤一利VS保阪正康VS松本健一

プレジデント2001年1.15号より、抜き書き

松本:大久保利通・・・官僚制度を軸とした近代国家の原型をつくった。
半藤:天皇を中心とした官僚国家をつくったので、官僚主導の国家が出来上がった。
松本:見方によっては、官僚独裁の大本をつくったので、昭和の大蔵省支配にまでつながっている。
保阪:大久保は人間を非常に冷たく見つめる。その冷たさが後に暗殺される遠因になったのでは。
    しかし、新しい国家をつくるには、こういう人物が必要だった。
    大久保は政権の中枢に座っていたが、生活は質素で、政治家として非常に清廉潔白でした。
 
半島:児玉源太郎・・・最大の国難、日露戦争時にの最大の功労者
    児玉は長州出身で、参謀次長まで出世し、満州軍総参謀長の職に名乗り出て、戦線に立ち、戦争を
    国際的に勝利の形で終わらせることを最大目標として、戦争終結の方法を開戦前から考えていた。

保阪:内村鑑三・・・札幌農学校からアメリカへ留学し、帰国後、一高講師時代に教育勅語への礼拝を拒否して免職になり
    一時、「万朝報」で社会主義者の幸徳秋水らと非戦論を唱えるが、その後は、無教会主義による日本的キリスト教の
    伝道に生涯を捧げた。

半藤:夏目漱石・・・日露戦争に勝って、日本は五大強国入りをしたが、その驕りが日本人をいかに悪くしたか、最初に警鐘を鳴らした。
    その退廃は、第一に出世主義、第二に金権主義、第三に享楽主義、第四に虚無主義、と言われ、近代の日本人の姿とその行方を
    見据え、文明批評を行った点は歴史的に評価されるべき。

松本:原 敬・・・大正に入って、軍閥政治をひっくり返す政党政治への道筋をつけた存在。
    南部藩の家老職の家の出身で、海軍兵学校に落ちて法律学校に進み、自由民権運動の波に洗われる。
    その後、政友会の総裁となり、大正7年には日本初の純然たる政党内閣を組織し、平民宰相という称号を得た。

半藤:石橋湛山・・・明治以来の日本の対外的な膨張主義に対し、一貫して「小日本主義」を唱えて抵抗した。
    日本のような資源の乏しい国は、世界中の国と仲良くしながら、貿易を中心に繁栄を目指すべきだと。
    この「小日本主義」は、戦後の日本そのもの、そして成功した。
    当時大新聞社や言論誌が次第に時流に流されていく中で、湛山は東洋経済新報社で踏ん張って、近代日本の国家戦略を
    問い続けた。ジャーナリストの在り方の原点を示した人物として再認識すべき。

保阪:吉田 茂・・・吉田は戦後6年半の占領期のうち、延べ4年近く首相の座にあった。
    吉田は、近代日本の歴史の中で、昭和6年(1931)の満州事変から20年(1945)の敗戦までの軍事主導主義は、

明治草創期の先達たちがつくった国家像に対する変調であると位置づけた。そして、満州事変以前と占領期をつないでいく
       
         という「再生日本」を意図した。
    
    吉田は日本再生と同時に占領軍とも戦わなければならなかった。そのため吉田の作った戦後日本の骨格は、いくつもの矛盾を抱えた。
    その矛盾を次の世代に処理してもらおうと考えていたが、矛盾がずっと続いてきた。

保阪:斎藤隆夫・・・民政党の代議士。2・26事件の時議会で、粛軍演説を行って軍部を激高させ、日中戦争に対し「聖戦批判」をして
    除名され、常に反軍演説を展開した。

松本:大久保利通から始まって吉田茂までの近代日本の流れ、つまり、近代ヨーロッパ的な文明の理念をある部分批判しつつも追求しよう

        とした路線は基本的には間違っていなかった。しかし、昭和の一時期がそれを駄目にしてしまった。

    
    「駄目にした人」のリストアップは、
    東条英機、伏見宮博恭、加藤寛治、末次信正、昭和に入ってからの東郷平八郎、永野修身、嶋田繁太郎、松岡洋右、
    平泉 澄、瀬島龍三、

松本:「近代日本を創った人」とは、国家意思を背負って国民を救おうという意識に立っている人で、
       
        「駄目にした人」は、結局、私のことしか考えていない。 だから、地位や責任逃れに汲々とする。

半藤:これからは「現代日本を創った人」「駄目にした人」を考えるとき、以上のような視点も一つの切り口となるのではないか。



(私の感想)

※松本氏の指摘は、現代日本政治を考えるときにも大事だと思う。じいちゃんの悲願を達成したいとか、任期中に自分の功績を

      残したいとか、お世話になった人の子供やお友達を大臣にしてあげたいとか、

 そのような考えの方は政治をやってほしくない。
    

  



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