カオサン発空港行きのバスの道中から遠方にスワンナプーム空港が目に入った時、
強烈な寂しさが込み上げてくる。
5日間のタイ滞在が何と早かった事か、楽しみは終わりが早いと言うがその通り。
しかし空港を離陸した時は少しホッとした気分になる。
反政府デモでの足止めはカンベンしてほしいからね。
さあ、これからが長い、台北で10時間のトランジットだ。
ホテルに入ったとしても滞在は6時間程度って事で面倒だし、早朝のバス移動にトラブルが
あるかもしれないので空港で一晩を明かす事にする。
入国ロビーに軟らかいソファがあり、4つ並びになっているので横になるにはちょうど良い。
早々に良い場所を陣取り、水を買って就寝に備える。
しかし予想以上に寒く、カートの音もガラガラと耳障り、さらに天井では強烈な照明があり、
そう簡単に寝られるものではない。
そんな状況もあろうかと本を持ってきておいた。
1979年三菱銀行強盗事件のルポルタージュだ。
プロローグから結末までの展開の面白さに読み入ってしまった。
結局眠れたのは3時間程度か。
チェックイン前、トイレで鏡を見た時の顔のやつれ加減には唖然とした。
旅での生活はかなりハードだったので疲労が一気にきたか。
帰国後の仕事始めもすぐなので体調を戻さなければならない。
スワンナプーム空港到着はAM2時
閑散とした感じだが1ヶ月前に1万人のデモがあったとは想像できないな。
さあ、どうしよう、シャトルバスは終わっているらしい。
始発までは3時間以上あり、ここで待つか?
とか考えながら歩いているとタクシー野郎が纏わりついてくる。
「 バス終わってるよ、タクシーだけだ 」
「 カオサンまでいくらだ? 」
「 400B 」
「 !? 冗談だろう 」
「 では350B 」
奴等の言い値通りにはならない。
「 他を探すぜ 」
「 ヘイ、ミスター、ウェイトウェイト、200Bだ 」
ホントかよ、一気の値下げだ。
「 200Bポッキリだな 」 と念を押す。
深夜のカオサンはまさに異臭漂うゴミ貯め状態だ。そんな中をホテル探し。
デモの影響で観光客は少ないと予想していたのだが、
ことごとく 「 シングルはFULLです 」 の回答。
バックが肩に食い込むよ。
6件目にして何とかゲット、400B、ここら辺だな。
しかし 「 遅い時間のチェックインなので安くして 」 とムシのいい話を出した事でモメる。
ムダなエネルギーを使ったぜ。
シャワーを浴び、ベッドに倒れ込んだ時はAM4時過ぎだった。
旅先での朝は早起きすべし。
3~4時間眠れりゃ十分だ。
パタヤで3日間を過ごし、再びバンコクはカオサンに戻ってくる。
あのカオサンロードが小規模で落ち着いた雰囲気に見えるのは、
パタヤの喧騒が如何に大きいと言う事だ。
タイでの滞在は残り24時間なので後は昼間からビールのんだり、
ウィンドショップしたり、タイマッサージ受けたりでリラックスした時間を過ごす。
初日から昨日まではあれしなきゃここ行かなきゃとかヤケに忙しなくしていたので
何気ないものをしっかり見ていなかった。
この時間はそれらがとても楽しく見える。
人間、気持ちに余裕を持って行動する事により、
良い結果を呼び込むと言った基本的な事を改めて教えてくれる。
しかし、海外でどれだけ開放感を味わおうと、
結局はいつも何かのプレッシャーを感じながら生きていかなければならない。
帰りのバスで確実に空港に到着出来るか?
それもまたひとつのプレッシャーだ。