グランドキャニオン観光ツアーに参加する。
参加者はこのシールを胸に貼れとやら、
んなもんやってられるか、だからツアーは嫌いだ。
大型バスで空港へ向かう道中から見る光景はアメリカのイメージそのものだった。
乾きひび割れた土、岩山、枯れた草木、そんな荒野が広がる。
ラスベガスはそんな砂漠の地に創られた人工的な都市なので少し外れると、元の形があらわになる。
空港に着き飛行機見てビックリ。
小型のプロペラ機だ。
重量制限があるとやらで体重など測る。
12人乗りだと。
さすがにガタイが違うと乗り心地も違う。
ハイクラスの普通車から軽自動車に変えたような感じ。
時に上下に揺さぶられる。
「 おいおい、落ちないだろうな 」
ヘッドホンで各国のガイドを流すが聞くよりも見るほうがいい。
下界はキャニオンが広がっている。
着陸後、バスで移動、国立公園を走る。
途中、シカが現われ心が和む。
国立公園にディアハンターなどいないだろうが。
昨日、銃を撃ったので 「 ターゲットにしたら楽しいかな 」
などと心無い想像をする。
展望台からの眺めはまさに壮観。
何万年もの時間による侵食した岩盤が描くそれはまさにアートだ。
視界いっぱいに広がるキャニオンはあまりに広く大きく、遠近感にトラブルが起こり、手を伸ばしたら
触れられそうな錯覚にも陥る。
遥か彼方には地平線が見えて、その境目は青空がうっすら白みを帯びて茶褐色の岩とのコントラストが
芸術を構築する。
音も澄んでいて何も聞こえないのだが耳に鼓膜に音を感じる。
また、空気感が違う?
腕肌、首筋、額、目に感じるその空気に違和感がある。
それは心地よいもので少し冷たく、少し振動を帯びているような感じで、冷んやりとした空気が
身を包み込んでいるような ..。
広大な自然を見ると人間の小さいことを痛感するとはよく言うが、俺は逆に人間の大きさを感じた。
感情、感性を持ち合わせている事が何と素敵で素晴らしいことか。
帰りの飛行機はまた、プロペラ機でユウウツだが景観はすばらしい。
飛行場のロビーに付いたらB5サイズの写真が飾ってある。
参加者それぞれのものだ。
往路の飛行機に乗る前、機をバック2人の操縦士と記念撮影をしたあれか。
なにっ16ドルだって? オプションなのか。
関西の商人 ( あきんど ) よろしく。
「 あなたの写真だ、買わない手はないよ 」 とばかりに言い寄る。
「 そりゃ記念に買うよ、でも12ドルにしてよ 」
「 残念だけど、まからないよ 」
「 はんっ 」
後から聞いた話だが別の飛行機に搭乗した同じツアー客が機内でゲロをブッ放したらしい。
あの狭い機内で ..。
ああ、違う飛行機でよかった。