
フィリピン航空の飛行機は予想通りにオンボロだ。
当然、ビデオモニタも無い。
機が揺れる時はバケージBOXの淵がガタつくし、シートの付帯品も古い。
さらには食事の不味い事。
フィッシュを頼んだのだが何故かホタテ2個とポテト、ピーマンにカレーソースをかけたもの。
家畜のエサじゃねえんだ。
上空からマニラの都市を見て唖然とする。
何だ、コレは?
街全体が霧掛かっている。
いや、霧でなくスモッグだ。
見てるだけで熱気と臭気、息苦しさを感じる。
スゲェ街だ。
賞味3日も滞在できるだろうか。

空港のEXITを出て瞬時に 「 あ、コレは違う 」 と察し、案の定、途方に暮れた。
30分くらいウロウロし、落ち着かせようとインフォで貰った地図を見てみるが、
そもそも俺はドコへ行こうとしてるのか。
目的地(場所、ホテル)が明確でなければタクシーに乗る事もできない。
バンコクでの行程に慣れてしまっているので勝手の違いに慌てる。
やはりここはホテル予約サービスを利用したほうが無難だ。
エルミタ地区に宿をとるが1700P。
マニラは宿が高いと聞いていたがやはり。
初めての国の初日は少々高くついても前準備をした方が良いのかも。
何時の日か世界放浪をしようと夢見ているがこれは教訓にすべき事だ。
しかしまあ、カオサンの安宿とは違うね。
何よりセーフティBOXを利用できる事が嬉しい。
危険な場所も夜に強盗にあっても命を別にしたならば被害は最小限に抑えられる。
エルミタをほっつき歩く。
気候は島国だけあってねっとりとした暑さ。
恐らく暑期や雨期は中途半端なサウナにいる様な体感になるのだろう。
とても過ごせそうにない。

街は界隈でイメージ通り。
道路は所々壊れていて水道管の水も噴出している。
側溝を除いてみると体長30cmの大ネズミがウヨウヨいる。
まるでゴミ溜めだ。
上を見ると電線の架け方も異常だ。
これでよくショートしないなあ。
ビニルシートの絶縁もたいしたものと関心する。
鉄製の歩道橋に束になった電線が接触していて階段を上る途中、それが肩に当たりそうになった。
一体どうなっているんだ。
電気保安協会とか存在しないのだろうか。
車の排ガスも相当なもので、いつも思うが環境について先進国がどんなに努力し、声を上げてもアジアの
貧困国が足を引張る図式となる。
人民の気質を見ているとどんなに説明してもその意識は持てないのだろうと思わせる。
交通渋滞も酷く、ジプニー、タクシーが排ガス、騒音バリバリで我先にと走らせ、信号などあったものではない。
実際、死亡事故は多いらしい。
事故を目撃しなかったのが不思議なくらいだ。
海岸沿いの遊歩道を歩いていたり、ショッピングモールに行ったりして過ごすがマニラはあまり観る所が無い。
名所に行く事は特に好きではないが、無さ過ぎるのもさみしい。

ぶらぶら歩いていると物売りやドライバー達が纏わり付いてきて、そのしつこさに憤慨する。
とにかく長くしつこいんだ。
150mくらい付いてくる事もある。
「 バイアグラはどうだ? 1500Pだ 」
1箱8個入りらしい。
そんなもの居るか、そもそも俺には必要ない。
「 いらんよ 」
「 よし、1000Pでどうだ? 」
その後、どんどん値が下がり、ついには
「2箱で100P。 文句あるか? 」
いったい原価はいくらなんだ?
さすがにうっとおしくなってきたので立ち止まり、顔を見合わせ指をチッチッと振り
「 I don’t need that. 」
メシは上手いものが何一つ無い。
ダイエット中なのでそれ程苦にはならないが鶏肉以外何が食えるのだ?
それにフィリピン料理って何だっけ?
珍しくコンビニで買った食糧をホテルの部屋で食った。

フィリピンはやはり貧富の差が大きい事を実感する。
高級車に乗る人の端ではボロ服を着てる人がいる。
高級ホテルの路地裏では絵に描いた様なスラムな光景だ。
そんな中で子供達は明るい。
彼らは自身が貧しい国に生まれ、貧しい生活だから不運とか不幸とかの概念は無いのではなかろうか。
判断基準を知らず、比較する事もないのでそう考えないのだろう。
だからあの明るさを持てるのだろう。
歩いているとボロキレの様なピンク色のワンピースを着た少女が纏わり付いてきた。
足は裸足だ。
” ちょうだい ” と掌を出してくる。
少女にとって胴元 ( 親 ) に言われるがままに行動し、何かを思う事もないのだろう。
知恵はここスラムで学ぶ。
少女に対して何も感じる事はないが、その背景に嗚咽がこぼれる。
その俺は珍しくその少女に金を与えた。
そして少女は感謝の言葉を残し、胴元の所に駆け足で戻って行った。