文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

着任してまず「39人を吊るせ」と命じた。彼は対日戦争を一連のインディアン戦争の締めくくりと考えていたフシがある。

2021年02月08日 20時53分24秒 | 全般
以下は、2021/1/15に出版された高山正之の最新刊、変見自在 コロナが教えてくれた大悪党、からである。
この本もまた、彼の前著作同様、世界最高の本である。
日本国民のみならず世界中の人たちが必読である。
日本国民全員は、今すぐに最寄りの書店に購入に向かわなければならない。
世界中の人たちには、私が、可能な限り知らしめる。
本論もまた、彼が戦後の世界で唯一無二のジャーナリストである事を証明している。
見出し以外の文中強調は私。
今こそ「国会」の正しい歴史を知ろう 
朝鮮動乱さなかの昭和26年4月11日、米大統領トルーマンがマッカーサーをクビにした。 
彼を神の如く慕う朝日新聞は驚愕し、涙を滲ませながら「我々に民主主義のよさを教え、日本国民をこの明るい道へ親切に導いてくれたのはマ元帥だった」と翌日の社説に綴った。 
彼は4日後、公邸を出て羽田に向かったが、見送りは「都民総出で」と要請があり、しょうがないから近所の小学生がかき集められて沿道で旗を振らされた。 
元帥機は離陸後、別れを惜しんで東京上空を一周するとかで、学校に戻った小学生は今度は屋上に並んで旗を振らされた。 
マッカーサーの民主主義とは子供にも苦役を強いる奴隷農場主の心根みたいと幼心には思えたものだ。 
実際、マッカーサーは奴隷農場主の如く振舞った。
着任してまず「39人を吊るせ」と命じた。
彼は対日戦争を一連のインディアン戦争の締めくくりと考えていたフシがある。
中で大いなる勝利はリンカーンの対ダコタ族戦争で、このときはスー族の部族の長38人を大きな舞台に立たせてまとめて一度に吊るした。 
だからオレは39人同時処刑の記録を作りたい。
次に彼は首相の幣原喜重郎を呼び、財閥解体と憲法改正を命じた。 
幣原は「日本は米国と違って法治国家。すべては帝国議会の議決で決める。憲法の改正も天皇発議と定められている」と教えた。 
マ元帥は鼻で笑った。
「米国はハワイ王朝もキューバ、フィリピン、パナマの憲法もみなこっちの都合に合わせて書き下ろした。日本とて同じことだ」で、ケーディスに戦力も交戦権も放棄した新憲法草案を作らせ、幣原に「ジョージ・ワシントンの誕生日2月22日にマッカーサー憲法草案受諾の閣議決定するよう」命じた。 ただ新憲法も帝国議会の議決が必要だ。
そんな非常識な憲法は通らない。 
では国会を解散し、親米派に総入れ替えしよう。 
世にいうGHQ解散は幣原が閣議でマッカーサー憲法受諾を決めた翌月に行われ、GHQはいい人材を追放する一方、親米派の確保に乗り出した。 
まず中絶と断種を訴える女ヒトラー加藤シヅエが選ばれ、神道を嫌うクリスチャンの片山哲とその仲間の社会主義者が認定された。
日本嫌いのロベール・ギランは獄中の徳田球一を見つけ出し、彼を含め5人の共産党員を釈放させて立候補させた。 
GHQはそんな悪さをやりながら表向きは女性の参政権を認めた我が国初の民主的な普通選挙だと喧伝した。 
日本は明治以来、衆院は中選挙区制だった。
それではGHQ工作もうまくいかないから、この選挙に限り大選挙区制を命じた。 
最大14人区もあり、有権者は3人まで選べた。 
投開票は米軍管理下で行われ、案の定というか加藤シヅエや徳田球一らGHQ推薦組は全員当選した。 
ただ好ましくない鳩山一郎が当選した。 
「GHQ幹部から、鳩山を外人記者会で吊るし上げて落とせと依頼された。俺たちはうまくやった」とマーク・ゲイン『ニッポン日記』にある。 
GHQは貴族院にも手を回し、南原繁ら進歩派ぶった人材が加わった。 
南原はマッカーサー憲法を絶賛し「国家は悪、国民は常に犠牲者」論をぶち、さらに昭和天皇退位を論じてGHQに喜ばれた。 
こんな祿でもない人たちによる審議の結果、マッカーサー憲法は圧倒的多数の支持で通過成立した。 
新憲法を通すためだけに選ばれた議員たちは新憲法下での総選挙でもご褒美再選を果たした。
新生国会は不浄に塗れたままスタートを切った。 
朝日の編集委員、国分某が先日のコラムで「帝国議会が今の国会になって、もう200回を数える」と書いていた。 
忌まわしい生い立ちを考えれば、今の国会は本当によく立ち直った。
それを評価するのかと思ったら大違いだった。 
安倍が米国製憲法を勝手に解釈して一強体制にしたのは許せないと言う。 
マッカーサーの思いと違うじやないかと素直に言えばいいのに。
(2020年3月5日号)

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