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総力特集「NO」と言える日本へ、元総理5人の書簡、佐渡金山…敵は国内にあり

2022年03月09日 15時06分43秒 | 全般

以下は、総力特集「NO」と言える日本へ、元総理5人の書簡、佐渡金山…敵は国内にあり、と題して、発売中の月刊誌Hanadaに掲載されている高市早苗さんと有本香さんの対談特集からである。
日本国民のみならず世界中の人達が必読。
「主導権争い」が勃発か
有本
高市政調会長には変わらず期待していますが、岸田政権に対しては正直、疑問に思うところも多いです。
まず、経済政策から伺います。
岸田総理の言う「新しい資本主義」がわかりづらく、株価も下落傾向にある。
政権発足から4ヵ月で「100兆円が吹っ飛んだ!」とも言われています。
もともと岸田総理と高市さんの経済政策は違いましたが、高市さんの持論、たとえば積極財政のお考えなどを政権側に強く具申なさることはないのでしょうか。
高市
まずは、夏の参院選挙で勝たなければならない。
そのためには、岸田内閣に実績を上げていただくことが何より重要です。
私の個人的な主張をぶつけるよりは、岸田内閣が実績を上げられるようしっかり後押しすることが私の役割です。
昨年の衆院選挙はまだ岸田内閣ができたばかりでしたから、実績に対する評価ではなく、期待票でした。
しかし、今度はそうはいきません。
夏までに岸田内閣が何と何をやったのかが問われる。
実績を上げやすい環境を党内から作っていく、これに徹したいと思います。
経済政策については活発な議論が行える場を作りました。
私が政調会長になるまでは「財政再建推進本部」でしたが、傷んだ経済を回復、成長させていくためには「財政再建」に絞った議論をすべきではないという思いから、「財政政策検討本部」に名称を改めました。
最高顧問は安倍元総理です。
将来に向けての財政再建の議論、積極財政による景気刺激策の議論、この両方を平等に議論し、そのなかでベストな財政政策を作り上げていく。
いまは夏に向けて、弾込めをしている時期です。
有本
政調会長直轄の会議体の名称を変えることは、メッセージとして重要だと思います。
一方で、「財政健全化推進本部」は、岸田総理の意向で総裁直轄機関に改組されていますね。
最高顧問は麻生太郎副総裁です。
こうした状況を見て、国民のなかからは「岸田政権はやはり財政再建ありきの政権ではないか?」
「岸田総理と高市さんの主導権争いか?」という懸念の声も聞かれます。
高市
党内で自由闊達な議論ができていますし、財政再建ありきで議論が進むことは決してありません。
残念な「対中決議」
有本
いわゆる「対申非難決議」が2月1日、衆院本会議で採択されました。
「南モンゴルを支援する議員連盟」の会長を務められている高市さんはよくご存じのことですが、この決議の文案は、昨年4月の原案ですでに「中国」という文言が削られており、疑問の声が上がっていました。
そこからさらに、「人権侵害」や「非難」という表現も削られた。
長年、この問題にかかわってきた私の気持ちを率直に申し上げるなら、この文面で決議する意味がどこにあるのかとさえ思います。
2月8日には「ウクライナ決議」も衆院本会議で採択されましたが、こちらもロシアを名指しせず、緊迫するウクライナ情勢を「深く憂慮する」というぼんやりとした内容でした。
ところが、昨年6月の通常国会で、ミャンマーに対しては非常に強い内容の非難決議が速やかに採択されました。
語弊のある言い方かもしれませんが、日本の国会、政界は、ミャンマーのような強くない国には強い調子でものを言うが、中国、ロシアのような大国には弱腰になると見える。
人権侵害や、武力による威嚇を「非難」するのなら、相手によって言い方を変えるべきではないですね。
誰に対しても、「悪いことは悪い」と言わねばなりません。
高市
私なりに努力をしてきましたが、残念ながら国会決議になりますと、政調会のマターではなくなります。
国会対策委員長、つまり国対に指示できる幹事長のマターです。
さらに、国会決議は基本的には全会派一致の原則がありますから、自民党の意見を前面に押し出すのは難しい。
内容についてはいろいろご批判もありますが、国権の最高機関である国会で何の決議もできなかったとなれば、それこそ国際社会に誤ったメッセージを出すことになる。
岸田総理との役割分担
有本
内容よりも、まずは「決議ありき」だったということですか?
高市
中身を読めば、新疆ウイグル、チベット、南モンゴル、香港と地名をあげていますので、どこの国に対して非難を行っているかわかる内容になっています。
全会派が賛成するために削られたところについては、国会対策委員会が汗をかいたわけですから、政調会から文句を申し上げる筋のものではありません。
有本
敢えて伺いますが、政調会長ではなく、一議員として、この骨抜きの決議をどのように思っていますか。
高市
いまは政調会長をしておりますので(笑)。
有本
まるで靖國参拝の時に「公人ですか、私人ですか」と訊く記者みたいな問いになりましたが、ただ、あの決議に落胆し、怒った国民も多いことをご理解ください。
高市
昨年の年末まで私も粘りましたが、タイミングについてはかなり遅くなってしまったことは残念です。「内容はいいが、タイミングの問題だ」と昨年12月に茂木幹事長はおっしやっていました。
あの当時は、北京五輪へのいわゆる「外交的ボイコット」を官邸がまだ発表していなかったので、それより先に国会で非難決議をするのはどうなのかと幹事長なりに考えてのことだったのではないでしょうか。
なにがなんでも通常国会でという思いで取り組んできましたので、まあ、よかった(笑)。
救いは、北京五輪の開会式の前に決議を採択できたことですかね。
有本
それでも、中国は「わざわざ開会式の前にやった」と怒っていますけどね。
タイミングがいつだろうが、あちらの反応は同じだったんじゃないでしょうか(笑)。
茂木幹事長の真意は測りかねますけど、政府が「外交的ボイコット」等について慎重に思案しているときにこそ、むしろ国会が先に、わが国が大事にすべき価値観や原理原則を強く主張して、政府の背中を押すようなことはできないものでしょうか。
他国の議会はそうしています。
高市
私もそういう思いでいました。
岸田総理には「時には厳しいことも申し上げるかもしれませんが、そこは割り切ってください。私たちは役割分担をしているのですから」と申し上げてきましたから。
予算委員会での私の質問に対して、与党幹部、カッコ匿名の方が(笑)、「野党質問か」「倒閣運動か」と批判していたようですが、内閣が打ち出せないことを党が積極的に発言をする、これこそが役割分担です。
自民党には幅広い支持者がおられるわけですから、政府が言えないことを代わりに党が言うのは当然のことです。
だからこそ、「そこは割り切ってください」と岸田総理にはお伝えしているんです。
五人の元総理は許せない
有本
(紙を高市氏に渡しながら)これは、昨年(2022)1年間で、世界の主要国の議会が中国に対してどのような決議をしたのかの一覧です。
前号の『Hanada』にも書いたものの抜粋ですが、ご覧ください。
G7では、日本以外のすべての国の議会が「ジェノサイド認定」「人道に対する罪」の決議を行っています。
また、リトアニアとかチェコとか、中国に比べると国力が小さく、かつ旧東側の国々でも同等の決議を行っています。
これに対して、日本の国会議員は「状況がわからないから認定はできない」など、逃げ口上ばかりを並べている。
しかし仄聞するところによると、実は安倍政権時代に外務省はウイグル人らの人権侵害に関するかなり深い情報を得ていたそうです。
北京五輪が終わっても中国の人権状況が改善することはないでしょうし、中国の覇権主義も止まることはないでしょう。
先の決議で終わりにするのではなく、中国に対してさらなる強いメッセージを日本の政府と国会が出すべきです。
高市
この対談のあと、岸田総理と官邸でお目にかかります。
5人の元総理がEU委員長宛てに福島第一原子力発電所事故を巡る書簡を出したことから生じる、風評への対応を求める決議を岸田総理にお渡しいたします。
あの書簡はいわれのない差別や偏見につながるものであり、許されるものではありません。
また先日、政調会で「人権デューデリジェンス」への対応を盛り込んだ提言を取りまとめましたので、それもお持ちいたします。
制裁もあり、輸出規制もあり、輸入規制もあり、当然、人権デューデリジェンスもあるというのが米国です。
日本はと言えば、ようやく人権デューデリジェンスのガイドラインを作る動きが出てきましたが、制裁もなければ、人権に関する輸出規制もない。
民間企業任せにするのではなく、政府が国際基準に合致したガイドラインを作るべきです。
懸念国や懸念企業についてのリストは国際社会にはたくさんありますので、それを日本語に訳して企業に提供すること、政府調達に関しても懸念国は弾くことなどを、この直後に岸田総理に申し入れを行います。
ユニクロ米国輸入差し止め
有本
高市さんの対中政策へのそうした想いは、岸田総理に伝わるのでしょうか。
高市
伝わると思いますよ(笑)。
有本
だといいのですが……。
高市
外交部会だけとか経済産業部会だけとかではなく、今回は政調審議会まで開いて提言を取りまとめました。
自民党政調会のクレジットでお持ちしますので、これは非常に重たいと思います。
有本
かつては人権と通商は別と考えられてきましたが、これからの世界でもうそれは通用しません。
昨年末、アメリカの上下両院が「ウイグル強制労働防止法」をほぼ全会一致で可決し、直後にバイデン大統領が署名して成立させました。
しかしその成立の1年近く前、すでにユニクロのシャツが、米国への輸入を停止されています。
理由は、製品の原料に中国共産党の傘下組織「新疆生産建設兵団」(XPCC)がかかわった綿か使われている疑いがあるというもの。
ファーストリテイリングは「強制労働の事実はない」と否定しましたが。新法ができた今後は、いつ何時、日本企業が中国で生産したものが、欧米諸国から締め出されるかもわからない。
高市
そうです、だからこそ、政府が小規模事業者に対しても徹底的な情報提供をすることが重要なんです。
日本の民間企業が米国のサプライチェーンから排除される、場合によっては制裁を科されるリスクがあることをしっかりと認識すべきです。
有本
高市さんや、自民党の外交部会長である佐藤正久さんからはそのような危機感が伝わってくるのですが、残念ながら、政府からはそれが感じられません。
高市
強い制限には後ろ向きかなと思ってっていたのですが、経済産業部会長の石川昭政議員も強い危機感を持っています。
日本企業が海外でしっかりとモノを売るために、国が先頭に立って制度設計をしなければならないという認識は共有しています。
有本
岸田総理が同じ熱量で物事を前に進めていけますかね。
高市
経済産業省は萩生田大臣がいらっしゃいますので認識を共有できていますが、率直に言うと、外務省はかなり腰が引けていました。
有本
経済界からも、あまり厳しくしないでよという声が聞こえてきます。
これは先が見えていない声と言わざるを得ませんが、しかし中小企業にしてみれば、自力での情報収集、サプライチェーンの組み換えが難儀だというのはわかります。
高市
政府のサポートが足りないので、不安に思うこともあるでしょう。
1月24日の予算委員会で、私が佐渡島の金山の問題のあとに取り上げたのが経済安保のテーマです。
海外の法制度について小規模事業者まで徹底的に周知をする、これは政府のやるべき仕事です。
政府の背中を押す意味もありましたが、テレビ中継も入っていたので、むしろ小規模事業者に対して、いまある現状をお伝えしたいという思いでした。
高市質問で流れが変わった
有本
佐渡の金山の世界遺産登録の件は、高市さんの質問によって流れが変わった面があると思います。
しかし、そもそも政府・外務省で、なぜあのようなゴタゴタが起きたのでしょうか。
高市
敵は国内にあり、です。
「強制動員真相究明ネットワーク」という団体が野党議員に対して熱心に働きかけを行ったり、佐渡島で事実ではない証言をしてくれる人を探したりと、様々な工作を行っていました。
有本
強制動員真相究明ネットワークについては、7~8年前、花田編集長の雑誌で書いたことがあります。
2005年7月に結成されたこの市民団体は、戦時中の「朝鮮人強制連行」について究明を行っているとしていますが、民団(在日本大韓民国民団)や社民党などが結成総会の来賓挨拶をしたことを見れば、どのような団体かおわかりでしょう。
その団体が1月二25日、「日本政府は戦時の朝鮮人強制労働を否定するのではなく認知すべきである」という緊急声明を発表しました。
そのなかに、次のような記述があります。
「韓国が悪いのではなく、歴史事実を否定して恥じない日本政府に問題があるのです」
敵は国内にあり、というのはまさにそのとおり。
ですが、外務省の姿勢もやはり問題ですよ。
佐渡島の金山は記憶遺産ではありませんし、そもそも半島労働者がいない時代の話ですから。
韓国は当然、当事国ではない。
事前に日本と韓国が話し合う必要はどこにもありませんね。
高市
江戸時代ですからね(苦笑)。
戦時中とは全く関係ありません。
有本
過去も繰り返されてきた失敗ですが、簡単に相手の土俵に乗ってしまう。
この組織体質を外務大臣のリーダーシップで変えていくべきと思うのですが、難しいのでしょうか。
高市
体系的な話をすると、1年間延期をしたら不利になることは誰の目にも明らかです。
現在、21委員国のなかで1国は日本です。
3分の2以上の賛成で登録されますので、日本を除けば13ヵ国の支持でいい。
江戸時代の日本の手工業のすばらしさをしっかりとアピールできれば、世界遺産に登録される可能性は高いと思います。
ただし推薦が来年になれば、決定は再来年の夏。
来年の秋からは任期終了となる委員国が9ヵ国あり、韓国が立候補する可能性が高い。
委員国として韓国が反対すれば、最悪の事態になります。
さらに、2027年からは中国が委員国になる可能性がある。
そうなると、否応なく歴史戦に持ち込まれます。
だからこそ、私は予算委員会で林外務大臣に「仮に今年度の推薦を見送った場合、来年度までに確実に、佐渡島の金山を世界遺産一覧表に記載する環境を作れる自信と戦略をお持ちか」と質問をしました。
質問後、「今年度の推薦は難しいかもしれない」と思っていたのですが、28日、岸田総理は推薦する方針を表明しました。
外務省が後ろ向きだという情報も入ってきていましたので、総理が外務省の声を抑え込んだということでしょう。
24日に私が質問して、28日には岸田総理の鶴の一声で推薦することを決断したわけですから、しっかりとリーダーシップを発揮されたと思います。
発表前には私にも連絡をいただきました。
有本
あの場面では、「聞く力」を発揮された(笑)。
ただ、7年8ヵ月にわたった安倍政権を支え続けてきた、自民党のいわゆる岩盤支持層のなかに、「岸田総理は自分たちの声には耳を傾けていないのではないか」という不信が根強いのもたしかです。
「我々の声も救い上げてほしい」という願いが、「高市待望論」の根っこにあると思うのです。
高市さんを支持するため、総裁選前後に自民党員になったという人がかなりの数に上ったと聞きましたが。
高市
本当に多くの方々に支持をいただき、党員にもなっていただきました。
感謝しています。
憲法改正まったく迫力不足
有本
岸田総理と高市さんの間を裂こうという気は毛頭ありません。
ただ、岸田総理を支持する層と高市さんを支持する層の考えはかなり違います。
高市さんを支持する圈はより保守的で、中国など他国に対して言うべきことははっきりと言ってほしいという立場です。
この層が、いま岸田政権に違和感を覚え、自民党への期待感がしぼんでいると言っていいと思います。
これが、参院選の選挙結果にも影響する可能性がある。

一方、台湾はすでに半有事と言ってもいい状況です。
そんななかで憲法改正はできるのか。
憲法審査会も少数野党が足を引っ張り、まともに開催すらできない。

先日、立憲民主党は「開催を容認する」と上から目線の発言をしましたが、そもそも憲法改正をするかしないかは、最後は国民が決めるんです。
それを国会が阻んでいるのが現状です。
憲法改正を後押しするために、なにか具体的な策みたいなものはありますか。
高市
憲法改正も政調会長マターではありませんが、総裁直轄本部の名称を「憲法改正推進本部」から「憲法改正実現本部」へと変更しました。
政調会長代行の古屋圭司議員が本部長になられたので、私は期待しています。
古屋本部長は、有本さんが先に述べたように、最後に決めるのは国民であり、その機会を奪っているのは国会だと述べています。
国会は憲法審査会をしっかりと開催する、一方で国民に対してはなぜいま憲法改正が必要なのかという世論喚起をしっかりと行う。
憲法改正を実現するためには「国会の議論」と「国民の理解」、この両輪が欠かせない。
国民の支持がなければ、憲法審査会の議論も熱を帯びてきません。
47都道府県の自民党県連が、憲法改正に向けて組織を作りました。
なぜ、いま憲法改正が必要なのか、具体的な事例を挙げながら車座集会を開く予定です。
2月6日、岐阜県で初の地方集会が開かれましたけども、私の地元である奈良県でも3月1日に開催します。
このような集会を全国で開催できれば、憲法改正への機運は高まるのではないかと思っています。
私どもがいまやれることは環境づくりです。
有本
野党は論外ですが、ここ数年の動きを見ていると、自民党も本気で憲法改正をする気がないんじゃないかと見えます。
憲法改正は自民党の党是であるにもかかわらず、まったく迫力不足。
参院選挙と同じ日程で国民投票もやるくらいのスピード感と気概を見せてほしいのですが。
高市
憲法改正の議論が進まなかったのは、憲法審査会があまりにも長い間、開かれなかったこと。
開催するにあたって、立憲民主党がCM規制を先に議論するべきだと入口のところで条件を付けたこと。
いまは衆院では憲法改正に前向きな勢力が増え、維新も国民民主党もテーマ別の議論に進むことに賛同しています。
これは目覚ましい進歩です。
これで毎週、憲法審査会が開かれれば、議論は煮詰まってくると思いますよ。
緊急事態条項は特に優先度の高いテーマであり、国民の皆さまにも必要性が理解されやすいので、どんどん議論をして前に進めてもらいたい。
岸田総理に決断力はあるか
有本
テーマ別の議論もいいですが、やはり緊急事態条項や憲法九条など優先度の高いテーマから手を付けてほしい。
現状のまま、台湾海峡で一朝事あれば、わが国は取り返しのつかない事態に陥りかねません。
岸田総理にそれをやる気があるかどうか……。
高市
岸田総理はいろいろな人の話を聞きながら変えるときには変える、決断する時には決断することはしていると思います。
憲法改正もそうですが、今年の大きな柱はやはり経済安全保障です。
どのような事態になっても必要な物資を国内で調達できる環境をつくること、サイバー攻撃から国民の生命や財産を守り抜くこと、機微技術の国外流出を防ぐことなどを柱とする「経済安全保障推進法」の第一弾を今国会で必ず成立させたい。
有本
その経済安全保障政策にも、「罰則強化だ」という反対の声があると聞いております。
高市
経済界からですね。
有本
経済活動をある程度、制限する方向に向かう法律ですか。
高市
機微技術の流出を止める、特許の非公開化、その点では一定の制限がかかりますが、
G20のなかで特許の非公開制度がないのは日本を含めて3ヵ国ですから、しっかりとやらなければならない。
国家が持っている情報や技術を民間企業に提供するわけですから、守秘義務を課すのは当然のこと。
制限ばかりに目がいきがちですが、これは民間企業にとっては大きな成長戦略のひとつでもあるんです。
有本
かねてより高市さんがおっしやっていた外国人研究者などのスクリーニング(選別)は、その第1弾には含まれますか。
高市
外国人研究者のスクリーニングは第2弾でやります。
これを入れると、今国会では通りませんから。
個別で見ると、ほかのG7の国のほうが早いですが、戦略的かつ体系的な法案はまだ世界にはありません。
世界初ですので、この法案を何としても今国会で通したい。
編集部
言いにくいでしょうが、ここまでの岸田政権は何点でしょうか。

高市
私からは言えません(笑)。
有本
「岸田総理は決断が遅い」との声についてはいかがでしょう。
高市
決断を早くされるときにはされる。
たとえば、昨年の衆院選挙の投票日も決断は早かったですよね。
公約集をつくり、印刷をする日程を考えると、無茶な日程でした。
おかげで、私は3日、ほぼ徹夜でしたけど(笑)。
いろいろ混乱はありましたが、オミクロン株への水際対策、佐渡島の金山についても決断は早かった。
有本
岸田総理は意外と決断は早い、と。
でも、国民にはそう映らないのですね(笑)。
では、これまでの政調会長の仕事をご自身で採点すると何点ですか。
高市
一所懸命やっているけど、50点というところかな(笑)。
有本
厳しい(笑)。
高市
いや、自分は100%の力で働いていますが、まだ実現できていない政策がたくさん残っていますから。

 


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