文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

政府、自民党に意見があるなら、雑誌を通じて間接的に批判するのではなく、岸田総理や甘利幹事長、高市政調会長に対して堂々と伝えればいい

2021年10月27日 15時36分10秒 | 全般

昨日発売された月刊誌WiLLは当然ながら毎日配達されている全国紙とは発行部数は段違いに少ない。
だが、それはノーベル賞を受賞するような人たちは頻繁にマスメディアに登場したりする人達では全くない、言わば、ごく少数派であるのと同様なのである。
つまり本当の研究を為している人達、本物の知性は、ごく少数の中にいるのである。

昨日発売された月刊誌WiLLに掲載されている安倍晋三元内閣総理大臣と櫻井よしこさんの対談特集は、10月31日に投票を控えている日本国民全員のみならず世界中の人たちが必読。
日本国民は、投票する前に、この対談特集と、次章にて紹介する高山正之の対談特集を読まなければならない。
本欄の読者の方々は、出来るだけ多くの周囲の人たちに、伝えて下さい。
以下は前章の続きである。
矢野次官「二つの間違い」
櫻井 
月刊誌『文藝春秋』(十一月号)に、矢野康治財務次官の論文が掲載されて話題になりました。
「このままでは国家財政は破綻する」と題して、総裁選に向けた経済政策を「バラマキ合戦」と揶揄する内容です。
安倍 
矢野さんは二つの間違いを犯しています。第一に、手法の誤りです。
政府、自民党に意見があるなら、雑誌を通じて間接的に批判するのではなく、岸田総理や甘利幹事長、高市政調会長に対して堂々と伝えればいい。
しかも、総選挙を間近に控えるタイミングです。我々が議席を懸けた戦いに臨もうとするなか、後ろから弓を引くのは吏道に反するのではないか。
櫻井 
『文藝春秋』は矢野さんの一方的な主張だけでなく、それに反論する記事も載せて両論併記すべきでした。
反安倍路線を貫く『週刊文春』に比べれば、『文藝春秋』はまだマシだと思っていましたが、さほど変わりませんね。
安倍
第二に主張の誤りです。矢野さんは、一般会計における税収と歳出の不均衡と債務残高をもとに、財政危機を論じています。
しかし、一般会計だけでなく、特別会計を含めたすべての政府関係予算を合算して見なければならない。
日銀は金融政策において政府から独立していますが、会計的には政府と連結して考えるべきです。
政府と日銀の連結バランスシートを見ると、千五百兆円の資産に対して、負債は国債の千五百兆円と銀行券等の五百兆円。
銀行券には金利がつかないし、償還しなくてもいいので、形式的な負債といえる。
少しでも会計を勉強すれば、日本が債務超過に陥っていないことがわかるはずです。
櫻井 
矢野さんは、日本の財政状況を「タイタニック号」にたとえて、「氷山に向かって突進しているようなもの」と危機感を煽っています。
安倍 
本当に日本がタイタニック号なら、誰も日本の国債など買わないでしょう。
日本が信用されているからこそ、海外の投資家が金利ほぼゼロにもかかわらず十年物の日本国債を買っているのです。
財務省のホームページにも、「自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない」と記されています。
約二十年前、米国の格付け会社が日本国債をボツワナより格下と評価しました。そのとき、財務官だった黒田東彦さんが反論したものです。
人々の生活を犠牲にするのか
櫻井
財務省は何十年にもわたって「このままでは財政破綻する」と叫んできました。
しかし、プライマリー・バランス(基礎的財政収支)を重視して財政出動を渋り続けた結果、失われた二十年を招いてしまった。
PBは、社会保障や公共事業など行政サービスを提供するための経費を、税収等で賄えているかどうかを示す指標です。
安倍 
行政サービスをすべてストップすれば、プライマリー・バランスは守られます。
その代わり、街は失業者で溢れ、就職先が見つからない若者が路頭に迷うことになる。
財政規律を維持するために、人々の生活を犠牲にするようでは本末転倒。
コロナ禍という非常事態においては、財政政策によって、雇用を守ることが最優先なのです。
支出を渋るのではなく、成長により税収を増やすという発想に転換しなければなりません。
2020年度、安倍政権下で62兆円という過去最高の税収を記録しました。
長期金利より成長率が上回れば、収支の差は縮まって財政健全化に向かうことになります。
櫻井 
国際社会を見渡しても、他国が成長を続けるなか、日本経済だけがデフレから脱却できないまま苦しんでいます。
この事実こそ、財務省の認識が間違っていた何よりの証拠ではないでしょうか。
安倍
日本はなぜ、20年間もデフレから脱却できなかったのかー金融政策を日銀に、財政政策を財務省に丸投げしてきたからです。
第二次安倍政権まで、政治家が金融政策に囗を出すべきではないという空気があった。
しかし、私はあえてマクロ経済政策を大々的に掲げて選挙を戦いました。金融政策が雇用を左右するというのは世界の常識です。
実際、米国FRBは「雇用の最大化」を目標に掲げている。アべノミクスのインフレ目標2%にしても、真の目的は雇用創出にほかなりません。
働きたい人が働ける社会をつくることが政治の役割。であれば、政治家こそ金融政策を勉強する必要があるのです
櫻井 
今の言葉、安倍総理から岸田総理へのメッセージと受け止めました。
「聞く力」だけでなく
櫻井 
経済や安全保障における政策の継続性、そして国際社会における日本の存在感という観点からすると、一年ごとに首相が代わる時代に逆戻りさせてはなりません。
岸田総理が長期政権を築くために必要なことは何でしょうか。
安倍 
第一に、国民の声に耳を傾けることが大切です。国民が政治に何を求めているかを、機敏に察知しなければならない。
とはいえ、岸田総理は「聞き上手」なので心配はしていません。 
第二に、決断力です。
「自ら反(かえり)みて縮(なお)くんば、千万人と雖(いえど)も吾(われ)往かん」-多くの敵に囲まれても、たじろぐことなく自分の信念を貫かねばならない場面がいずれやってきます。そのとき、思い切った決断に踏み切れるか。
櫻井 
岸田総理には「聞く力」だけでなく、決断力、実行力を発揮していただきたいと思います。

 

 


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