文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

もともとこの外人記者会こそ日本を政局化する装置としてGHQが置いた…最初の仕掛けは昭和21年

2021年02月27日 08時47分33秒 | 全般
以下は木曜日に発売された週刊新潮の掉尾を飾る高山正之の連載コラムからである。
本論文も彼が戦後の世界で唯一無二のジャーナリストであることを証明している。
国際世論を作る
ちょっと前の話だ。
拉致問題担当大臣の山谷えり子が外人記者会のゲストスピーカーに呼ばれた。 
北朝鮮は黙り、日本は被害者を奪還する手だてもない。そんな中で外人特派員がやっと関心を持ってくれた。
山谷は一条の光を見る思いで会見に臨んだ。 
まず英タイムズのペリー記者が立ったが、質問は拉致ではなく「マスキを知っているか」だった。 
訝(いぶか)る山谷に「一緒に写った写真がある」と続ける。 
米人記者アデルシュタインが「マスキは在特会の男ですね」と畳みかける。 
在特会とは資格もないのに生活保護を受けている在日に反省を求める市民団体のことだ。 
その団体の一人マスキが山谷と親しげにしていた。それが問題だと江川紹子も入れて10人くらいが山谷を吊し上げた。 
こんなひどい会見がなぜ開かれたか。
ヒントはその1ヵ月前、朝日新聞の慰安婦問題の素、吉田清治の話は「みんな嘘でした」の告解にあった。 
慰安婦はただの売春婦だった。それでは朝日の嘘に乗って日本を貶めてきた外人記者の立場がない。 
思いは慰安婦で日本にたかってきた韓国も同じだ。 
早急に朝日批判の世論を鎮めたい。
併せて慰安婦の嘘を暴いた安倍政権を叩き潰すネタを探し出して仕返しせねばならない。 
で、見つかったのが彼女の遊説中に撮られた一葉の写真だった。 
山谷の招聘が決まり、あとは彼女を吊し上げて辞任に追い込み、安倍の任命責任を追及する手筈だった。 
そのために韓国ロビーはかなり貧しい外人記者に随分ばら撒いたと聞く。 
かくて会見が開かれ、袋叩きの模様は翌日の朝日、毎日が大きく報じた。
東京新聞は「山谷は霊感商法の統一教会系の新聞にも出ていた」と続報を流した。 
しかし赤い御三家が懸命に騒いでも世論の方は30年、日本を嘘で貶めた朝日を許す気はなかった。 
クビが飛んだのは山谷でなく朝日の社長だった。 
外人記者会を舞台にした政局作りは失敗に終わったが、実を言うともともとこの外人記者会こそ日本を政局化する装置としてGHQが置いたものなのだ。
最初の仕掛けは昭和21年。
GHQが次期首相の「鳩山一郎を潰せ」と特派員連中に命じた。 
材料は「ヒットラーを称揚する手記だった」とマーク・ゲイン『ニッポン日記』にある。 
鳩山は外人記者会の午餐会に招かれたが、夕刻まで続いた質疑はみなヒットラー絡み。
翌日の新聞にも叩かれ、結果、追放された。 
田中角栄も同じ。 
彼は米国に断りなしに日支国交を回復した。 
それは支那市場を「太平洋の向こうのマニフェスト・デステイニー」と見る米国をいたく怒らせた。 
角栄はまた「日本が血を流して独立させた」(G・ホーン『人種戦争』)東南アジア諸国にも近づいた。
これも日本再起を警戒する米国には許せなかった。 
角栄は時局をテーマに外人記者会に呼ばれたが、口サンゼルス・タイムズ記者らの質問は「田中金脈」ただそれだけ。
同じ話が執拗に繰り返され、それが外電で報じられ、日本の新聞も大騒ぎになって首相辞任に追い込まれた。 
角栄を措けば人材はいない。
以後の宰相は米国どころか支那韓国に遠慮して靖国にも行くのをやめた。 
外人記者会も開店休業で、今やフリーライターに毛が生えたような連中だけになった。 
山谷を虐めたタイムズ記者はクイズに当って日本に来た男だし、イタリアのデミリアは不法入国者だ。 
山谷会見のあと、加瀬英明ら「朝日を訴える会」がここで会見した。 
質疑の締めで加瀬が「あなた方は日本に奴隷がなかったことも知らない」「みんな無知で不勉強だ」と評した。
それは正しい。 
例えば森喜朗の女性論で、日本の新聞は日本を悪しざまに言う国際世論をやたら気にする。 
それを書いている東京特派員の顔をたまには見てみるがいい。


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