生命と息と霊とは空気と一体のものである、
そして風こそ、そうしたものの神である
――ライアル・ワトソン(生物学者)
秋の訪れを風の音に感じる平安時代人の感性に較べると、地球規模でまとめられたライアル・ワトソンの『風の博物誌』は、改めて風と人の深く広い関係を思い知らせる。さまざまな風の種類と歴史の関係が興味を掻き立てるなかに、風ということばの基本に触れた記述がある。
彼によると、ラテン語の「アニマ」は「風」と「霊」の両方を表す。「アニマ」から「アニムス」(魂)が生まれ、英語の「アニマル」に達した。息をするという意味のラテン語「スピラーテ」からは「スピリット」(霊魂)、「アスパイア」(熱望する)、さらに「インスピレーション」(霊感・鼓舞)ということばが派生したという。
ヘブライ語やアラビア語、インドや中国でも、同じような使われ方をしていると書く。まさに風と霊と息は、おおくの言語で一体のものであった。日本人は風の音に秋の訪れを感じただけだろうか。風が呼び覚ます霊魂や呼吸を聞き分け、感じ分ける自然と人間の豊かさを持っていたのではないか。
そして風こそ、そうしたものの神である
――ライアル・ワトソン(生物学者)
秋の訪れを風の音に感じる平安時代人の感性に較べると、地球規模でまとめられたライアル・ワトソンの『風の博物誌』は、改めて風と人の深く広い関係を思い知らせる。さまざまな風の種類と歴史の関係が興味を掻き立てるなかに、風ということばの基本に触れた記述がある。
彼によると、ラテン語の「アニマ」は「風」と「霊」の両方を表す。「アニマ」から「アニムス」(魂)が生まれ、英語の「アニマル」に達した。息をするという意味のラテン語「スピラーテ」からは「スピリット」(霊魂)、「アスパイア」(熱望する)、さらに「インスピレーション」(霊感・鼓舞)ということばが派生したという。
ヘブライ語やアラビア語、インドや中国でも、同じような使われ方をしていると書く。まさに風と霊と息は、おおくの言語で一体のものであった。日本人は風の音に秋の訪れを感じただけだろうか。風が呼び覚ます霊魂や呼吸を聞き分け、感じ分ける自然と人間の豊かさを持っていたのではないか。