負けるな知的中高年◆本ときどき花のちコンピュータ

「知の崩壊」とかいって、いつの間にか世の中すっかり溶けてしまった。
「知」の復権に知的中高年よ、立ち上がれ!

『マトリックス』のCGはカナダの国家プロジェクトだった

2004年09月02日 | 詞花日暦
ハリウッドに無縁な七人のカナダ技術者を
映画と結び付けて想像するのはむずかしい
――ホフスタッター(LAタイムズ記者)

 映画『マトリックス』の第二部『マトリックス・リローディッド』が、公開後一か月で興行収入の記録を塗り替えた。人々はこれまで目にしなかった映像表現に圧倒され、CG効果のすごさを口にした。作品が伝える内容については、第三部公開まで語りにくいせいもあった。
 CG技術を支えたのは、二○○一年に設立されたカナダの小さなXYZ-RGB社。XYZは三次元の三方軸、RGBは光の三原色。三次元立体をレーザー光でスキャニングし、コンピュータで再現する技術「アリウス3D」を開発した。ロスの「シーグラフ」に出展したのが映画との結び付き。七人の技術者は想像もしなかったことだった。
 それだけなら単なる成功談。もうひとつの背景は、カナダ連邦政府が資金援助する国家研究会議(NRC)。八十年の歴史を持つ国家プログラムによって、彼らの技術は育てられた。日本にも経済産業省や文化科学省などにプロジェクトがある。世界を驚かすような成功談は素人の耳には聞こえてこない。