負けるな知的中高年◆本ときどき花のちコンピュータ

「知の崩壊」とかいって、いつの間にか世の中すっかり溶けてしまった。
「知」の復権に知的中高年よ、立ち上がれ!

森林に降った雨の地下水は一日に一メートルの速度で流れる

2004年09月07日 | 詞花日暦
降水が……再び地表へ湧き出てくる周期は、
三百年、五百年と見られている
――山田和子(評論家)

 山村を中心にした約九百余の市町村が、森林環境水源税として国税を要請する動きがつづいてきた。一般国民や企業が使う水の量に応じて一定額の国税を課し、森林の育成に当てようというもの。二十年ほどまえも林野庁や建設省による提案があったが、経済界の反発で断念された。
 山田和子によると、東京オリンピックの年の東京大渇水時、干上がった小河内ダム周辺の森林から毎日三十万トンの水が供給された。昭和五十三年、福岡市の渇水でも周りの森が十五万トンを供給した。山森が降水を貯え、農作物や植物を育て、人々に水資源を供給し、海や湖の漁業を育んでいるのは、いまでは誰も否定しない。
 地下水の流れは「浅い地下水でも一日一メートル、深い地下水ともなれば年に一メートルの速度」。山奥の森林は貯水と浄化の役割を果たし、水なくして生きられない人々に不可欠である。森林環境水源税に異を唱える人はいないだろうが、こんな貴重な税金さえ食いものにし、むだに使う政治家や官僚が出ないのを願いたい。