菅原貴与志の書庫

A Lawyer's Library

欧米の契約観について(1)

2012-04-25 00:00:00 | 国際法務

国際法務入門 第20回
 国際取引と英文契約

 経済の国際化の進展に伴い、各企業が外国との取引に直面する機会も急増している。突然に英語で書かれた契約書の案文が送られてくることも、決して珍しいことではなくなった。国際取引でトラブルが発生すると、その処理の厄介さは国内取引の比ではない。したがって、企業の担当者としても、国際契約に関する基礎知識だけは身につけておきたいものである。

 ところで、現在の国際取引では、圧倒的に英文契約が多い。ともに英語を公用語としない国の当事者間(たとえば、日本とフランス間)の契約も、英語を用いるのがふつうである。したがって、国際契約は、イコール英文契約と考えておけば足りる。

 契約である以上、国内契約と共通する点はきわめて多い。しかしながら、英文契約には、いくつかの特徴的な差異がある。もちろん使用する言語が違うわけであるから、形式面が大きく異なることは当然であるが、それに加えて、そもそも契約書に対する意識に違いが存在しているのである。まずは、この契約観の違いといったものを理解しておく必要がある。

 このように国際取引にあたっては、国内契約との差異をつねに意識しなければならない。契約に対する考え方はもとより、相手方の信用調査、適用される法律、紛争が生じた場合の解決方法などにも十分に留意しておきたい。

(次回に続く)


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