犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

ゲゲゲの調布発信
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ますむらひろしの北斎展

2016年02月19日 | よみものみもの
漫画家ますむらひろしが北斎の作品をアタゴオル的に描いた絵の展覧会だ。
八王子市夢美術館で3月27日まで。
http://www.yumebi.com/

雑誌に掲載されなかった分も含めて52点すべての原画と、
その元となった北斎の絵も隣に展示してある。
さらに、発表の際同時に掲載された文章も横にパネルで展示してある。

北斎の絵になぜ猫が立ち姿で紛れ込むのか、
ますむらの漫画を知らない人は戸惑うだろう。
たぶん、『銀河鉄道の夜』がますむらの原画で映画化された時も
相当の人が「なんじゃこりゃ」と思ったのではないだろうか。

展覧会は、そんな、『アタゴオル物語』を読んだことのない人にも、
世界観がわかるようにだろうか、冒頭は漫画の原稿、
続いてアタゴオル世界のイラストが見られる。

片足をアタゴオルに突っ込んだような読者の私としては、
この展覧会は『北斎』のみに絞っても良かったんじゃないか、と思う。
というのも、
ものすごい量なんですもの。
満喫しようと思うと、アタゴオルの北斎を眺めて、
江戸の北斎を仔細に見て、またますむらの北斎を仔細に見て、
添えてある文章を逐一読んで、また見比べて見比べて、
続きを読んで、もう一度アタゴオルの北斎を眺めて、となる。
これを、52点丁寧にやろうと思ったが、途中で疲れてしまったので、
「アタゴオルの北斎を眺め」るところに重点を置いて進んだ。
それでも2時間以上かかった。

序盤でとっくにあきらめて、図録を買って帰って読むことにした。

まあそんなに食い込むように見なくっても、
ますむらの原画は美しいので、見て楽しい。

ゴロナオ工房の「色彩部長」は「奥方」がつとめる。
つまり、墨線をますむらひろしが描いて、色はやはり漫画家である
奥さんの昭子さんが付ける、という分業なのだ。

北斎のどの絵を選ぶか。
雑誌掲載の版型にどうやって合わせるか。
状態の良くない版画の、わからない部分を何と解釈するか。
単色刷りの版画の場合、どのように彩色するか。
遠近法に依らない絵を、現代の目からどう見るか。
どうやって、江戸ではなくアタゴオルにするか。

などなど、単なる模写ではなく、
雑誌に載せるアタゴオルの漫画イラストとして
北斎をどうアレンジするか、
作家が悩む様子が、文章からにじむ。

お近くの方はぜひ、展覧会に足を運ばれたい。
遠方の方は『ますむらひろし北斎画集』をお手元に。

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