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劇場版 超星艦隊セイザーX 戦え!星の戦士たち

2005-12-19 22:52:14 | 映評 2003~2005
蓼科高原映画祭・短編映画祭で審査委員長を務められた大森一樹監督の最新作である。ゴジラを終えてしまった東宝が無理矢理年末に押し込んだ特撮映画。でも本当はセイザーなんかじゃなく、昔ながらの東宝特撮がやりたかったのだろう。
海底軍艦・轟天号が出撃。『ゴジラFinal Wars』と違い、オリジナルとほぼ同じフォルム(『ゴジラFinal Wars』でも冒頭ではオリジナルフォルムの轟天号が出たけど)。しかも音楽まで伊福部昭作曲の海底軍艦のテーマを使う。そんなにやりたきゃ始めっから『海底軍艦2005』でも撮れよ・・・と、あきれ半分で観ていたが、轟天がジャスティライザーの巨大ロボ(ニセモノだけど)に自慢のドリルで突撃して撃破してしまうところに東宝特撮スタッフの負けず嫌いぷりっが感じられて楽しかった

グランセイザー:12人 + ジャスティライザー:3人 + セイザーX:3人のあわせて18人のヒーローとその何倍もの数の敵怪人が暴れ戦い乱れる、とても異様なクライマックス。爽快あるいは痛快な筈のそのシーンは、得体の知れない恐怖感というか不安感というか、妙な違和感がつきまとい、観ている私は呆然自失。なんかとんでもないものを目の当たりにしている気がする。・・・と思ったのはなぜだろう?
恐ろしく強い兵士が18人も集まった戦闘集団の脅威に呑まれてしまったのか?
あるいは、一人一人は主役になれるくらい個性的なのに、集団となった時に個性なぞ何処かに吹き飛んでしまう様に、「オラが街の英雄もイラクでは無名の戦士」、なんて現代の戦争が脳裏にオーバーラッパしてきたからかもしれない。
そんな不安感、恐怖感、あるいは違和感は、ラスト、悪を倒したヒーローたちがお決まりの決めポーズをとるショットを見て、「多すぎだよ、ぷっ」と笑っている時でさえ、頭の片隅にこびりついていた。

それにしても、ボスキートが襲撃した全国の大都市で、服だけ残して消されてしまった一般人たちはどうなってしまったのか気になる。だがもっと気になるのは、変身前のキャストも出してもらえぬまま、12人もまとめて召還されたグランセイザーたちの行く末である。変身後の状態でいきなり出現し、自己紹介もさせてもらえないばかりか、技の名前と「とおっ!!」とか叫ぶ以外に台詞らしい台詞もなく、ほとんどショッカーなど悪の組織の戦闘員と同じ扱いであったグランセイザーたち。いったいあの後、どう生活していくのだろうか?
たとえばエピローグに以下のようなベタなシーンでも入れれば、上記のような疑問も湧かずに済んだのだ。
・・・「どうやら片付いたようだな。じゃあな・・・」みたいなこと言って光につつまれ消えていくグランセイザー
グランセイザーを呼んだ少年が「行かないで~、グランセイザー!!」などと言う。

多分、契約の問題か、キャスト12人分のギャラが払えないか、その辺の大人の理由で台詞を言わせることができなかったのだろう。
あるいは、轟天号のシーンに時間を割き過ぎて、エピローグやグランセイザーの自己紹介シーン等をカットせざるを得なかったのかもしれない。
いずれにせよ、ヒーロー18人というところに無理が感じられる企画であったが、一方でその無理矢理感があるからこそ楽しめた映画だったとも言える。

******************
ところで、今更疑問に思ってはいけないことなのかもしれないが、どうして変身ヒーローたちは巨大ロボの必殺技を繰り出す時、操縦席の中でポーズをとったりするのだろう? 一体、操縦席の中で誰にアピールしているのだろう?
といってもセイザーXに限らず、大昔から変身ヒーローたちはそうやって戦って来たのだ。意味が無い筈は無い。
そこで自分なりに考えた末、以下のような仮説を立ててみた。

「操縦席でとるポーズは必殺技発動のパスワード」説

もし巨大ロボが悪に奪われたり、乗っ取られたりしたら、最強の技をバンバン使われてしまう。そこで必殺技を使う際に変身ヒーロー本人であることを認証するためのパスワードが必要となる。そうは言っても戦いの最中に15桁のパスワードとか打ち込んでる暇はないので、センサーが正しい振り付け通りにポーズを決めるかどうかを判断し本人と認証するのである。
そういえば昔の鉄人28号では「あるときは 正義の味方 あるときは 悪の手先 いいも悪いもリモコン次第」などと歌われていた。あれから数十年・・・正義の力が悪に利用されないよう、ヒーローたちも色々工夫しているんである。多分。
デカレンジャーではデカベースを乗っ取った敵が必殺武器をバンバン発射して街を壊したりもしていたけど

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