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映画作りの糧とすべく劇場鑑賞作品徹底分析(ネタバレ)
ブロガー37名による「00年代映画ベストテン」発表

キング・コング

2005-12-31 10:55:08 | 映評 2003~2005
「ロード・オブ・ザ・リング」を、二部作目の中盤以降、なげーな、早く終わんねーかな、このシリーズ・・などと冷めた目で見てきた僕ですが、まさか「キング・コング」でこんなに感動し興奮するとは思いませんでした。
場面ごと順々に感想を・・・

<最初の方>
長い!!!
冒頭の30年代のNYのシーンなどは悪くもない。まずは観客を30年代のニューヨーカー気分にさせなくちゃならないから、ある程度の尺は必要だし、ストリップ小屋でアンとカールが出会うくだりなど、結構好き。
問題は出航してから髑髏島につくまでの描写。キャラ紹介の必要性などもあってある程度の長さは仕方ないが、アンとドリスコルのキスシーンの時、さすがに退屈に耐えきれず眠くなってしまった。僕が小学校低学年だったら付き添いのお母さんかお父さんの袖ひっぱって、「ねえ、コングまだ出てこないの?」などとしつこく言って、親に怒られたことだろう。

<原住民襲撃!!>
ここまで1速でブスブズ進んできた映画は、原住民登場で一気にトップギアに入る。人種差別だ、異文化蔑視だ、などという(アホらしい)批判など怖くも何ともないかのように、獰猛で野蛮で見た目も行動もヤバすぎる奴らに襲われる。話しても絶対に判ってもらえない、殺すしかないような奴ら。
オリジナルへのリスペクトを耳たこなほど予告編やメディアで語りまくり、それを裏付けるように冒頭で「フェイ・レイは?」「RKOで撮影中です」「じゃ、監督はクーパーか・・・」などと語らせたピーター・ジャクソンであるが、この原住民たちの、ブレインデッドあるいは例の三部作のオークたちと何ら変わらない爆裂演出に、早くも何の映画を撮ってるのか判らなくなってきているのでは・・という不安と大期待を抱かせる。残忍に白人たちを殺戮する原住民描写が僕の心を鷲掴み。つい10分くらい前に寝そうになったことなど忘れさせる名シーンであった。

<コング登場>
ほんで、コングまだぁ、と両親を困らせた子供たちを、原住民描写で劇場から追い出したところで、いよいよキング・コングちゃんの登場である。すでに色んな映画で観たCG生物たちのような敏捷な動きと、正直飽き飽きしてきているグリングリン動き回るカメラなんかに今さら感動も興奮もしないのだが、アンを右手に抱えてジャングルを走り回る描写。めちゃくちゃ揺れまくってぶん回されて、アンは死ぬほど気持ち悪いだろうな・・・と思っていたら、それを再現するかのように、アンの視点ショットはスローモーションになり、次のシーンでは気絶してたりして、かなりうけた。
さてさてコングちゃんとアンのコミュニケーションは、大変ウィットに富んでいるというか、あれやこれやのエピソードの積み重ねも効果的で、アンを好きになっちゃうコングちゃんの気持ち(文字にすると「オレ、オマエ、スキダ、ウッホウッホ」)がすごくよく判っちゃった。

<コングvsティラノサウルス>
もしかしてティラノサウルスでなくてアロサウルスか何かかもしれないが、恐竜博士でもないので判らない。とりあえずティラノということにして文を進める。
CG恐竜など10年以上前にスピルバーグがやっており、いまさら感はいなめない筈だったが、2対1のバトルとすることで対抗か? いくらコングとはいえ2頭相手は不利じゃないか・・などと少しドキドキさせておいて、のわぁぁぁぁ!!出た!!3頭目!!
これはヤバい。しかもコングはアンを掴んでいるので右手は使えない。
が、しかし、やっつけちゃうんだなあ。スーパーヒーロー・コング。しかもラスト1頭との決戦では漢気見せまくり("漢"と書いて"オトコ"と読みます。なぜそう読むかは原哲夫先生にでも訊いてください)。じりじり近づき真っ正面から正々堂々ぶつかりあう(この時はティラノも"漢"だった)。
闘い終わった後、フーッフーッと肩で息してる様が良かった。さすがにティラノ3頭と闘うのは疲れるよな

<ジャングル大冒険>
ブロントサウルス(ブラキオ?)大行進のところもかなり面白かったが、そんなものより原住民描写と同系列の不気味生物描写がまた、狂ったように面白かった。悪の化身のようなコウモリさんたち、そして何より谷底の虫、蟲、蟲。身の毛もよだつついでにマジで吐き気までもよおしそうな、生理的気持ち悪さ。もし僕があのジャングルに行って死ぬとしたら、コングに潰されるか、恐竜に食われたりする方がいい。あの蟲や巨大ヒルとかに食われるのだけはゴメンだ。
そういうシーンに異様に力を入れるピーター・ジャクソン。これほど汚く気持ち悪いものを見せつけ善人ずらしない"大監督"も珍しい。
「ジュラシック・パーク」って実に映画的に都合のいい設定だったのだなと実感。DNA操作で恐竜だけ蘇らしたおかげ、あのようなおぞましい蟲たちが出てこないですんだのだ。実際のジャングル、まして恐竜時代そのままなジャングルなら、いろいろ気持ち悪い蟲たちも多い事だろうが、ジュラシックパークは上手くそれを避けた。コンピュータもない1930年代、DNAなんて言っても、何それ、美味いの?と訊かれそうな時代、気持ち悪い蟲たちは避けて通れない。避けるどころか必要以上のボリュームとテンションで描くこの監督。ほんとにキング・コングのリメイクがしたかっただけなのか?と疑問が湧いてくる。

<すっとばしてNY>
NYで大暴れのシーン。
「コングを繋いでいる枷はクロム合金です!!」と言って客を安心させるカール。しかし僕はちっとも安心できない。そもそもクロム合金ってどういうものかよく判んないし、鎖や枷の素材が何かというより、どういうメカニズムで固定しているのか(ボルト? 釘? リベット? 溶接?)の説明もなしに信じられるか!!? そうやって心配してたら、ほうら言わんこっちゃない。簡単に枷をぶっ壊してNY見物に飛び出しちゃった。
ここで、不可解なシーンがある。
エイドリアン・ブロディ演じる、ドリスコルが、「こっちに引きつけるんだ!」などと言って、タクシーでコングをおびき寄せたあげく、猛スピードで追ってくるコングから逃げ回る。
わざわざ被害を拡大させているようにしか見えない。楽しい楽しい都市破壊シーンがいっぱい観れたので、映画的にはOK
そんで、アンと再会したコングちゃん。セントラルパーク(?)でデートとしゃれこむ。このシーン。普通に感動しちゃってたりして。

<エンパイアステートビル>
80年版キングコングは貿易センタービルに上ったが、そのビルも今は無く、って言うか1930年だからあるハズないので、ニューヨーカーも心を痛めずにすみそうな、オリジナル通りエンパイアステートに上るコング。ビルのてっぺんから街を見下ろすカメラ、じゃなくてCGのなんと美しいこと。見入っちゃったよ。
つづく空軍との対決も面白く、「男たちの大和」にこういう描写があればなあ・・と、戦後60年たってもいまだアメリカに完敗している我が国の映画産業の不甲斐なさ
で、最後落ちていくコングが悲しくて悲しくて、僕が小学校低学年だったら「コングー!!」っと叫ぶか、「うわーん」と号泣していただろう(原住民と虫に恐れをなして帰ってしまってなければ)

**********
つーわけで、キングコングに敬意を表して、このめちゃめちゃ面白い映画とコングLOVEな心を、猿っぽい感想文に書きなぐってみました。
本年の外国映画の見納めにして、動物映画の見納めが「キングコング」で良かった良かった
この獰猛で野蛮な監督が次に何を撮るやら、とっても楽しみです。

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モンタージュ (kossy)
2005-12-31 17:24:04
1976年版のコングはジェシカ・ラングのヌードシーンでスケベそうな目つきになったように感じたのですが、今回のコングにはスケベそうな目や優しい目が感じられなかったのがちょっと残念でした。むしろ「お山の大将」を貫き通したといった雰囲気だったように思います。これはこれでよかったのかも・・・

BSでやってた編集の極意みたいな番組で、やはりモンタージュは大切なんだなぁ~と感じましたけど、また色々と映画について教えてくださいませ。

コメントどうも (しん)
2006-01-06 18:43:59
>kossyさま

そういえば、アクションにばかり気をとられて、表\情とかは気にしてませんでした

実はこれを観る何日か前に、深夜テレビでキングコング2をやっていて、それでは確かに色んな表\情を見せていました。

また、キングコング2という映画も、かなりユルユルな感じがかえって面白かったりする一品でした。
夕日つながり (にら)
2006-01-12 12:12:16
未見ですが沈没しちゃう『YAMATO』はコングに勝てるわけありませんが、『三丁目の夕日』あたりならいい勝負じゃないでしょうかね。



コングと3匹の鈴木オートが、くんずほぐれつ戦う続編の製作が待ち望まれます。



てなわけで、この場を借りて、あけましておめでとうございます。
TBありがとうございました。 (夢子)
2006-01-12 15:12:28
私も、あまり期待しなかったんですが、感動しましたね。こちらからもトラバ頂きますね。これからもよろしく。

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