
感動圧巻のハンス・ジマー・ライブ横浜公演。
2025年5月20日。
2025年5月20日。
ライブからだいぶ経ってしまったが、この感動を書き残しておきたい
何年も前からFacebookにハンス・ジマーのヨーロッパツアーの宣伝記事が上がってきていて、コメントに「ジャパンにも来てくれよハンス」とドイツ語翻訳して投稿したものだった。そんな私の招致活動のおかげに違いない!
ついにハンス・ジマー日本初公演!
これまで観てきた海外の映画音楽の作曲家のコンサートは、ジョン・ウィリアムズ、エンニオ・モリコーネ、ジェリー・ゴールドスミス、ダニー・エルフマンなどだけど、こうした人たちのコンサートはクラシック音楽のコンサートのような雰囲気だった。
だがハンスのコンサートは違う。プラハライブのCD持ってるから雰囲気は知ってるつもりだったけど、ハンス・ジマーはロックのライブだ。
照明がピカピカビカビカ。
重低音がズシンズシン。
たくさん出てくるゲストパフォーマーにあたるスポットライト
ハンスもギター持ったりピアノ弾いたり、歩き回ったり忙しそう。
そしてハンスはよく喋る
ジョン・ウィリアムズがほとんど喋らなかったのと対照的だ。曲ごとに長めのトーク。時々チェロ奏者のマリコさんが通訳してくれるが基本は通訳なしで英語で喋りまくる。
マリコさんはチャーミングな方で、日本公演ということもあってかハンスはやたらマリコさんをイジる。
マリコさんなど10数名のソロ奏者はハンスが言うところのバンドメンバーである。
ををバイオリンやチェロやフルートのソロ奏者なのだけど、弦楽系のパフォーマーはビジュアルも重視した美人さん達でみんなボンテージ風衣装で動きがダイナミック
ハンスが言うにはロックもクラシックも両方いける奏者を探したのだとか
ついにハンス・ジマー日本初公演!
これまで観てきた海外の映画音楽の作曲家のコンサートは、ジョン・ウィリアムズ、エンニオ・モリコーネ、ジェリー・ゴールドスミス、ダニー・エルフマンなどだけど、こうした人たちのコンサートはクラシック音楽のコンサートのような雰囲気だった。
だがハンスのコンサートは違う。プラハライブのCD持ってるから雰囲気は知ってるつもりだったけど、ハンス・ジマーはロックのライブだ。
照明がピカピカビカビカ。
重低音がズシンズシン。
たくさん出てくるゲストパフォーマーにあたるスポットライト
ハンスもギター持ったりピアノ弾いたり、歩き回ったり忙しそう。
そしてハンスはよく喋る
ジョン・ウィリアムズがほとんど喋らなかったのと対照的だ。曲ごとに長めのトーク。時々チェロ奏者のマリコさんが通訳してくれるが基本は通訳なしで英語で喋りまくる。
マリコさんはチャーミングな方で、日本公演ということもあってかハンスはやたらマリコさんをイジる。
マリコさんなど10数名のソロ奏者はハンスが言うところのバンドメンバーである。
ををバイオリンやチェロやフルートのソロ奏者なのだけど、弦楽系のパフォーマーはビジュアルも重視した美人さん達でみんなボンテージ風衣装で動きがダイナミック
ハンスが言うにはロックもクラシックも両方いける奏者を探したのだとか

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作曲家ハンス・ジマーについては大好きではあるが、色々思うところもある。
この人は90年代が最強だったと思う。
初めてその名を知ったのは『レインマン』
そこからブラッカイマー印の作品、監督だとスコット兄弟、ジョン・ウー、らとの無敵のコラボを重ね、2000年代もロン・ハワードや、クリストファー・ノーランと組んでいい仕事をしてきた。
なんとなく転機となった気がするのがテレンス・マリックの『シン・レッド・ライン』。この作品のサントラはハンスベスト3に入るくらい素晴らしいのだが、その後の彼の作風に強い影響を与えすぎた気がする。
90年代、圧倒的にかっこよく熱いメロディでアクションシーンを盛り上げてきたハンスだが、2000年代後半くらいからほとんどメロディのない曲で、電子音がブルブル鳴っているだけか、ごくごくシンプルなメロディ未満の旋律をひたすら繰り返すような曲ばかり書くようになった。
といっても、ハンスのせいでなく、ノーランをはじめとするその時代の作家たちがそうした音楽を求めたからだが。
そして、ハリウッドはなんでもかんでもハンスに音楽を持っていく
気がつけば、スーパーマンもバットマンもスパイダーマンもブレードランナーもトップガンも007もあの頃好きだったものがことごとくハンス・ジマー節になっていた。
もちろん明るいわかりやすいヒーローを求めなくなり、影があり苦悩するヒーローが求められて、そうした映画にハンスの作風がマッチするからだとは思う
また、音楽制作のプロダクションみたいになって自分はテーマ曲を作って所属メンバーたちがよってたかって編曲して…という映画音楽量産体制を確立した。
このやり方をよく思わない人も多かった。例えばジェリー・ゴールドスミスは批判的だった。
とは言え、気がつけばハンスもオスカー複数取った大ベテランにして巨匠。
現在だとジョン・ウィリアムズの次くらいに有名ではないか。
あの頃のあれやこれやも昔の話。
そしてオスカー2つ持ってもなお、巨匠然とせず、音楽大好き少年のように会場内で誰よりも楽しんでいたハンスの姿を見れただけでも、良かった。
もちろん、演奏される曲目はどれも最高に素敵でかっこいい
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演奏された曲
・DUNE〜インセプション(Mombasa)
・ワンダーウーマン?
・マン・オブ・スティール
・グラディエーター
・パイレーツ・オブ・カリビアン
休憩
・DUNEパート2? 〜ダークナイト(ハンスジマー練り歩き)
・ラストサムライ
・Xメン・ダークフェニックス?
・ダンケルク ?
・DUNE(Dream of Arrakis)
・インターステラー
・ライオンキング
アンコール
・007ノータイムトゥダイ
・インセプション(TIME)
なお?をつけた曲は、私の知らない曲でネット情報参考

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DUNE〜インセプション(Mombasa)
まず、なにやら不穏な音が続いた後、いよいよ幕が上がり、『DUNE』の曲が始まる。多分、アトレイデス家の宇宙船がアラキスに向けて出発する時の曲じゃないかな?
そして曲は切れ目なく『インセプション』の叩きつけるようなパーカッションが印象的な「Mombasa」
ステージ真ん中に配置されたダブルパーカッション、これも美人さんペアのパフォーマーが激しく叩く叩く
怒涛の迫力と言わずしてなんと言おう
テンションMAXにぶち上がる
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ワンダーウーマン(映画はハンス名義じゃないけど)
ハンスのマリコさんいじりトークの後、マリコさんが曲名を発表。「『ワンダーウーマン』です」と
しかしだ、『ワンダーウーマン』ってハンスだっけ?
調べると作曲はルパート・グレッグソン=ウィリアムズと出てくる。
この人はハンスが代表を務める「リモートコントロールプロダクション」のメンバーである。
さらに言うと『ザ・ロック』でハンスと共作名義だったハリー・グレッグソン=ウィリアムズの息子だったはずだ。
リモートコントロールプロはハンスがテーマを書いて、若手の構成員が(と書くとヤクザみたい)が仕上げをして、最終仕上げ担当者が映画ではMUSIC By …でクレジットされる事が多い。
『パイレーツオブカリビアン』もそんな感じだ。
ま、そういう次第でおそらくワンダーウーマンも実質ハンス作曲だったのだろう。
マリコさんのチェロソロがとてもかっこよかった
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マン・オブ・スティール
ハンス・ジマーによるスーパーマンのテーマ。ジョン・ウィリアムズのテーマは全部捨てて完全オリジナル。ミッションインポッシブル、ブレードランナー、007、トップガンだとオリジナル曲を流用するが、スーパーマン、バットマンだといっさい使わない。
これは単にシリーズの続編の場合と、リブートの場合の使い分けだ。ザック・スナイダーやクリストファーノーランの作風にジョン・ウィリアムズの優雅さや、ダニーエルフマンのはちゃめちゃ感が合うはずもない。
ただ、まあ、2010年代以降のハンスの特長であるメロディレススタイルの代表みたいな感じで自分としては全面的に肯定はしたくない類の音楽である。(それはハンスのせいではなく、そういう曲を求めるハリウッドのせいなのだが)
とは言っても苦悩から次第に解き放たれていくような高揚感は凄く、生演奏で聴くと宗教的なヤバさすら感じる。
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グラディエーター
代表作。安心感。
バトルテーマ部分が終わると、サントラと同じ本人登場でリサ・ジェラード女史。
25年も経っているのですっかり貫禄、だけれども25年前と同じくらいの声の張り
『グラディエーター』はハンス・ジマー&リサ・ジェラード名義でのクレジットだったので、あの時リサ様もオスカーフォルダーになっていた世界線もあったのだ。『グリーン・ディステニー』とぶつからなければ。
そんでリサ様の歌声が高らかに響く名曲「Now, We Are Free」に感動しかない
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パイレーツ・オブ・カリビアン
ワンダーウーマンでも書いたように、本作もハンスがテーマ作曲だけして、仕上げは当時のハンス一派の若手クラウス・バデルトにやらせ、映画のクレジットはクラウスのみの名義とした。2作目以降は名実ともにハンスの名でクレジット。
いまやハンスで一番有名な曲。
しかし割と長めの組曲として構成され、例のテーマは最後の最後に。
ついに来たぜあのヒット曲、ためにためて、やっとアレが始まった時、やっぱ心がウォォッと盛り上がるのを感じた。
バンドメンバー全員ずらり並んで例のテーマを演奏する、このビジュアル的にもかなりクライマックス感出したところで前半終了
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休憩
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DUNEパート2 からのダークナイト
後半開始すふかと思ったら、真っ赤なスクリーンの前をスタスタ歩いてくるマリコさん。チェロの演奏をはじめ、そこにさまざまなタイプのフルートを担当するペドロ・エウスターチェさんも加わり、エスニックな雰囲気というか中東風というか、まあ惑星アラキスの砂漠の民フレーメン風の音楽がねっとりと鳴り、そして音楽は切れ目なく『ダークナイト』の多分ジョーカーがヤバいことする時の曲へ。無秩序を好むジョーカーらしくメロディなんかない、ギターの音とひたすらに迫力。そのギターはというとハンスジマー本人を含む3人くらいで演奏。ハンスはギター弾きながら1階席付近を練り歩くサービスぶり。私は4階席だったので遠目に見るだけだったけど
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ラストサムライ
さあ、日本公演だからということもあるのかと思ったら別にそうでもなく、最近のハンスのツアーの定番レパートリーらしい『ラストサムライ』組曲だ。
ペドロさんの尺八と、ハンスガールズたちの弦楽ソロが、東洋風の雰囲気かもし、そしてサムライたちが戦場に向かう時の曲へと移行。
サントラだと、いよぉぉぉ、せやっ、はいやっ、とお祭りの木遣りみたいなコーラスが印象的だったが、ライブではその掛け声はなし。後になって思ったのだけど、ハンス的には観客のみんなに、いよぉぉぉとか言ってほしかったのかもしれない。カラオケでの「燃えよドラゴンのテーマ」みたいに
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Xメン・ダークフェニックス
演奏を始める前にハンスが何やら喋り英語のわかる人たちが笑っていた。
何を言っていたのかと言えば、どうも、映画は超つまんなかったからタイトルも言いたくないけど、曲に罪はないから演奏するね、みたいな事を言っていたらしい。ジョン・ウィリアムズはいい人なので絶対そんなことは言わないが、ハンスのこういうところもまた嫌いじゃない。
で、始めた曲が「Xメン・ダークフェニックス」である。この映画見た事ないし曲も初めてなので、映画へのコメントは控えるが、コーラスが印象的ないい曲だった。
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ダンケルク
これも、映画は観たがサントラ持ってないし、映画の劇伴曲として効果的だった記憶はあるがメロディまで覚えていなかった。といっても、2000年代後半以降のハンスは印象的なメロディを作ることはあまり重要視していないのだから当たり前だが。
だからダンケルク として紹介するのはネット情報がソースである。
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DUNE(Dream of Arrakis)
またまたDUNE
DUNEの曲3回目。なんだかんだで2度目のオスカー受賞はよっぽど嬉しかったのだろう
DUNEもやはりノーメロディな音楽ではあったが、この地球上のどこでもないような、でもどこかにあるような、これが惑星アラキスのフレーメンの民族性なのか、メランジという麻薬のようなもので飛んでるような精神状態を表しているのか
DUNEに強い世界観を与えた音楽の功績は大きい
ライブで、あのアフリカっぽくアラビアっぽくなソロヴォイス聴いてると気持ちがあがる
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インターステラー
自分はインターステラーは映画としてはそんなに高く評価していない。けれども音楽は2000年代後半以降のジマーの中では最高傑作じゃないかと思っている。
珍しく、割とメロが立っているというのもあるが、オルガン風の電子音が『ソラリス』オマージュをちょっと感じさせつつも、深遠なる宇宙への憧憬と畏怖と、映画のテーマである家族愛をしっかり感じさせる。わかりやすく言えば聞くだけでなんか泣けてくる。そういう曲だ。
物語の始まり部分の曲と、クライマックスの方のブラックホール突入あたりの曲だと思うが、悲壮感ある出だしから荘厳な後半へと続く組曲はライブで聴くとまた格別の感動があったのだった。
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ライオンキング
グラディエーターに引き続いてのご本人登場イベント。
絶対聞き間違えないレボMによるアフリカンなヴォーカルが、高らかに朗々と歌い上げられるオープニング。アフリカの大地が強制的に思い浮かぶ。
サントラと同じ人。ライオンキングってもう30年前の映画なのか…にもかかわらずあの頃と同じかなんならもっとパワフルな声のレボMが横浜に降臨。
レボMはジマーが音楽担当した『ティアーズ・オブ・ザ・サン』でもヴォーカル担当しているし、ジマーのアフリカ系音楽には欠かせない人。
なんだかんだライオンキングの曲は気分が上がる。これが大トリに来るのは、なんか紅白歌合戦の大トリにサブちゃんの「祭」がくるような感じだ。ジマーの2度目のオスカー受賞作『DUNE』で始まり、最初のオスカー受賞作『ライオンキング』で締めるという構成もジマーの集大成っぽくていい。
そして感動興奮のライブは終了し、ハンスたちは惜しまれつつ舞台からはけていく…
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007ノータイムトゥダイ
といっても会場の誰もそれで終わりなんて思ってない。鳴り止まない拍手が続く中、舞台の照明が落ち…
と思ったら、叩きつけられるドラム、あわせてフラッシュする照明。
また、叩きつけられるドラム、
よくよく聴くと、ボンドテーマのオープニングガンバレルの時によくかかるあの部分
ダダ!
ダダ!
ダダッダダダ!
字で伝わるだろうか?あの部分
そして照明がつき、ギタリストが登壇し、バンドメンバーも戻ってきて、例のボンドテーマが始まるのである
と言ってももちろんこの曲、ジマーオリジナルではなく、モンティ・ノーマン作曲、ジョン・バリー編曲なわけで、それでもお構いなしにノリノリで演奏してくれるのである
だったらミッションインポッシブル(ラロ・シフリン)、トップガン(ハロルド・フォルターメイヤー)もやってくれよと思わなくもないが
曲はやがて、キューバでのアクション場面(アナ・デ・アルマスが大活躍する場面)の曲へと変わる。サントラだとラテン風のトランペットが景気よく鳴っていたところをペドロさんがブラジリアンなフルートで盛り上げてくれる。
んで、最後にまたボンドテーマに戻って、締めのギターのチャラランのところ、ハンスやたら気に入って、もう一回もう一回と、結局3回くらいギタリストにやらせて、キャッキャはしゃぐ
生で見ると、精神年齢低めな感じが、微笑ましい
誰よりも一番楽しんでいるような姿が、ハンスのなんとなく漂うカリスマ性の正体かもしんない
カリスマってよりスーパースターっぽさ?
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インセプション(TIME)
アンコールの最後の曲。
ハンスが自らピアノを弾く。
主旋律ほぼ2音の鬼シンプルなメロディをひたすら繰り返す曲
ステージ上のスクリーンには、揺れながら回り続けるコマの映像
わかる人にはわかる映像の意味。
このコンサートは夢だったのか現実だったのか?と我々に問いかけてくるような
熱くかっこいいメロディでアクション映画を彩ってきたハンスはいつしかミニマルミュージックっぽくシンプルメロディの繰り返しを好むようになった。転機は『シン・レッド・ライン』だったと思うが、ノーランとの邂逅がそうした作風により磨きをかけた。
ダークナイトの意図的な無秩序な楽曲と、インセプションの逆に秩序立ちすぎたメカニカルな音楽、さらにインターステラーの急にロマンチックな感じと、作品に合わせて作風を変えつつも一貫したジマー節にしてノーラン風
この2人のコンビは良かった
とにもかくにも、ジマーの音楽をアップデートさせたノーランとの作品を最後に、夢のようなコンサートは、インセプションの曲で夢のまま終わる

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という感じで満腹感この上ないハンス・ジマーのコンサート
スマホで撮影OKのライブだったのだけど、圧倒されてほとんど撮影しなかった。
立ち上がって楽しむべきコンサートだったが、私の4階の席には立ち上がるの禁止の貼り紙があって残念。
一階席の人たちも座っていたみたいだ。日本人は行儀がいい。
ハンスは立つも座るも好きにしてくれと言ってたから別に良いのだが
という次第で、スーパースター、ハンス・ジマーの超エンタメコンサートを楽しんだのだった。
また、来日したら、また行きたい