英語教師のひとりごつ

英語教育について考える。時々ラーメンについて語ることもある。

英語は英語のままで理解しろ!と強要してよいのか

2013-12-12 18:03:34 | 日記
私は語彙(単語や熟語、コロケーションなどのフレーズなど)はまず日本語で覚えさせる方がよいと考えています。私自身はよく英英辞典を引きますが、まず英和辞典をひいてから英英で確認しますし、記憶の定着によいのは日本語で覚えることだと確信しています。

「日本語に訳すな。英語は英語のままで理解するんだ。」というセリフはほとんどの英語教師が言っているような気もしますが、私はあまり賛成できません。本当に英語だけで思考が可能なのだとしたらそれは英語しか知らない人だけだと思うからです。私自身、特にあまり話し慣れないトピックについて話すときには、瞬時に日本語で話したいことをまとめて話すようにしています。要するに、日本語で考えて、英語でアウトプットするまでにかかる時間を少なくすればいいことで、それがせいぜい数秒以内におさまればいいわけです。リスニングでもリーディングでも、慣れない単語に遭遇すると、日本語の意味にアクセスするのは間違いだと言い切れるでしょうか。その本能を抑えようとすることの方が不自然で、それをさも正しいことのように強要してしまう現状は少し行き過ぎだと思います。


さて、では日本語で同じような訳語が与えられている場合、どのような使い分けがされているのかわからない場合があります。そのような場合に英和や英英などの辞典の例文をたくさん読んで、あるいはそこに載っている語法についての説明などをチェックすることは非常に有効です。

ためしに「いわゆる」という表現をいくつかピックアップしてみましょう。「いわゆる」という日本語に当てはまる表現は次のようなものがあります。

(1)what is called
(2)what we/you/they call
(3)so-called

このうち、(1)と(2)は、日本語の「いわゆる」と同様に使います。たとえば次の例があります。

(4)He is what you call a musical genius.(彼はいわゆる音楽の天才だよ)(『ユースプログレッシブ英和辞典』より)

しかし、(3)のso-calledを用いるときには、少し注意が必要です。この表現は、一般的に否定的なニュアンスを含み、「世間で一般にいう~(実はちがうんだけどなぁ)」という感じです。たとえば次のような例があります。

(5)He is my so-called friend.(彼はまぁいわゆる友達なんだけどさ)


(1)や(2)は中立的なのですが、(3)のso-calledを使うときには、否定的に受け取られる、ということを意識する必要はあると思います。そして、そのような事実を知るためには、しっかりと辞書をひいて、例文や解説を検討することです。もちろん1冊でもよいですが、最近の電子辞書はたくさんの辞書が入っており、別の辞書でも簡単に検索できますので、ぜひ電子辞書も活用することをお勧めします(生徒も含めて)。

ちなみに紙の辞書を進める人もいますが、最近の電子辞書の質をみるかぎり、電子辞書のほうが優れていると思います。ただ、電子辞書では例文や解説を表示するのに手間がかかるので、それを惜しまないことは生徒に徹底すべきです。私は気になった単語は、電子辞書でも紙の辞書でもひきますが、生徒がそれをやる必要性を感じません。教師は正確な意味を読み取るため、さまざまな辞書をひき、生徒は電子辞書をぽちっと押せばよいのです。ちなみに紙の辞書ならば、『ロングマン英和辞典』や『ユースプログレッシブ英和辞典』、『コウビルド英英辞典』が個人的にお勧めですがいかがでしょうか。




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