英語教師のひとりごつ

英語教育について考える。時々ラーメンについて語ることもある。

My name is ~.は江戸時代の英語か

2015-02-03 19:48:09 | 日記
先日、あるバラエティー番組を観ていたら、「My name is~.は江戸時代のような英語だから、I am~.といわなければならない」という趣旨の内容がありました。確かにそう書いてある本を私は実際に読んだことがあるし、ネイティブによって書かれた本だけに反論するのも難しいものです。

しかし、実際にはMy name is~.は使われていると私は思います。これを説明するためには、ちょっと場面を具体的に考える必要があります。

まず、学生同士がカジュアルな場で自己紹介するときにMy name is~.というのはかなり違和感があります。ただし、この場合I am~.も普通は用いられず、I'm~.と言うのが一般的でしょう。では、My name is~.はどのような場面で用いられるのかといえば、授業などのややかしこまった場で、複数の人へ自己紹介するときには問題なく使うことができます。この場合I'mやI amでもかまいません。ではなぜこのような場面ではMy name isを用いてよいのかといえば、、こういった場での自己紹介では、「名前は~」「趣味は~」などと何のトピックについて話しているかを明らかにすることは普通のことだからです。

もうひとつ、My name isが問題なく用いられるのは、例えば電話でホテルへ電話をかけて予約する場合でしょう。まず、何日に部屋は空いているかを確認し、空いていることがわかり、部屋を予約したいと伝えた後でMy name is~.と名乗るのは何の問題もありません。この場合も、今は自分の名前について話をしている、と明らかにする必要があるからです。特に日本人など、外国人にとって聞き慣れない名前の場合は、My name isを用いて名前の話をしていることを明らかにしたほうがよいでしょう。

では、はじめの学生同士(特に学生同士に限定する必要はありません。一応。)がはじめて会った場面ではどうしてMy name isが不自然なのかというと、フォーマルな表現であるというのもありますが、はじめて会った時に名前を名乗るのが当たり前のことだから、というのが一番の理由ではないでしょうか。つまり、「今は名前の話をしているよ」と示す必要がない(場面から明らかである)のに、あえてそれを述べるのは不自然だと感じるのです。

以上のように、My name is~.は「拙者は~でござる」などという古風な表現では全くありません。適切な場面で適切に使えるようにすれば全く問題なく使うことができます。フォーマルだという観点でいえば、I amとI'mの対比のほうが議論されるべきではないでしょうか。