ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一

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日本HP「欠勤40日で諭旨解雇」裁判、二審で元社員が逆転勝訴

2011年01月31日 | Weblog

 
 日本ヒューレット・パッカード(HP)の元社員が不当解雇の裁判を起こしていた件で1月26日、東京高裁で逆転勝訴の判決が出た。この解雇は、元社員が職場内で嫌がらせに遭っていると訴え、会社側に実態調査を依頼。その間、社員は有給休暇を使い切り、さらにその後40日間、会社を休んだ。日本HP側は、そのことを理由に論旨解雇(退職金は受け取ることができる)としたが、控訴審では、無断欠勤には当たらないとの判決が下り、解雇無効とした。日本の判例法における正社員の解雇が、いかに特別なものであるか、経営側から見ればどれほどハードルの高いものか、を物語る判決だ。その詳細を報告する。(二審判決全文はPDFダウンロード可)

 

 
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【Digest】
◇職場の嫌がらせ
◇HPの社風を信じて調査依頼
◇欠勤40日で論旨退職処分
◇「え? なぜ解雇なの?」
◇逆転勝訴判決
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http://www.mynewsjapan.com/reports/1363

2011年1月28日付のMyNewsJapanで記事

「日本HP「欠勤40日で諭旨解雇」裁判、二審で元社員が逆転勝訴 」

を企画、取材、執筆しました。

 

 ちなみに、「職場いびり―アメリカの現場から」(著者:ノア・ダベンポート、シルース・ディスラー・シュワルツ、ゲイル・パーセル・エリオット/緑風出版刊)によると、職場のいやがらせは、欧米では「MOBBING」と呼ばれる。MOBとは、「群をなす、襲う、騒ぐ」の意味。

 モビングにはいくつかの種類があり、その一つが「意思疎通を否定する」。これは他人を侮辱し見下すための手段で、例えば、こんな行為かあるという。

 ・あなたの面前で軽蔑の笑いをする。

 ・あなたに関するいやみな冗談を言う。

 ・噂をたてたり偏見を作り出す。

 ・あなたと目を合わせようとしない。

 ・あなたは無視される。

 ・陰口をたたく。

 

 また、モビングには進行過程があるという。 


 ・第一段階は、意見の衝突、対立。

 ・第二段階は、攻撃的な行動、心理的な攻撃。潜在的職場いびりの段階。

 ・第三段階は、管理者層が巻き込まれる。管理者は状況判断を誤って、支援の手を差し伸べず、孤立化や追い出し工作を始める。

 ・第四段階は、被害者は、いまや、気難しい人、精神疾患にかかっているとの烙印を押されてしまい、危険な段階。

 ・第五段階は、解雇。

 

 また、モビングの被害の度合いは、三つに分けられるという。

 ・被害度数一度は、なんとかモビングに抵抗して早期に逃れようとし、同じ職場あるいはどこか別の職場で十分に復帰を果たす。

 ・被害度数二度は、モビングに対して抵抗も逃れることもできず、一時的、あるいは長期の精神障害を被り、職場復帰が困難になる。

 ・被害度数三度は、職場復帰を果たせない。身体的精神的障害が著しく、極めて専門的な治療計画を適用しない限り回復しそうにない。

 

 こうしたケースはこの国でも山ほどありそうだ。

 

 


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