ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一

※ブログ下記移転しました(2015年7月以降)
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日記 安倍政権によるクーデター

2015年07月19日 | Weblog

 安保法制が国会で審議されて以来、実に多くの識者が安倍自公政権について語っている。例えば、7月18日付のビデオニュース・ドットコムでは、石川健治氏(東京大学法学部教授)がこう語っている。

http://www.videonews.com/marugeki-talk/745/

より

 「委員会を通過して本会議を通してしまった、その瞬間が大事だったのか、それとも昨年の7月1日(の閣議決定)が大事だったのか、そこのところはそう簡単ではない。私はどっちかというと、7月1日が大事だったというふうにあとから評価されることになるんじゃないかな、と思うんです。

 7月1日に閣議決定を行った際に、本来、法論理上、許されないことを、実はその時点でやってしまった、ということが大事。その論理的帰結が、ここ数日のひどい出来事だと思うんですね。

 6月くらいから、私の先輩の長谷部恭男さん(国会で違憲と断じた早稲田大教授)をはじめとする憲法学者がそれなりにがんばって、時計の針をたぶん7月1日までは戻せたんじゃないかとおもうんですけど、その前に戻すことはできないまま、運命の日を迎えた。

 「あくまで集団的自衛権ではなくて、個別的自衛権の範囲ですよ」というのは、これは言ってみれば、今育てているのはウグイスですよ、という説明を国民に向けてやっているわけです。ところが、集団的自衛権を解禁状態にすることによって、何を狙っているかというと、一般には、これによって抑止力が増す、と考えているわけです。

 ところが、こういう、あくまでウグイスなんですよ、危なくないですよ、という説明をしていたら、抑止力は絶対に発生しないわけですよ。これぐらいのことで、仮想敵国が、びびったりすることは、ないわけです。

 だから、逆にいうと、対外的には、これはホトトギスだと言わざるを得ないわけですよね。そうじゃないと、抑止力は発生しないわけですから。

 ということは、結局、ホトトギスになってしまう。

 だから、内向きには、大丈夫ですよ、と言っているわけですけども、実は非常に弱い歯止めしかついていませんから。対外的には、集団的自衛権というシグナルを送るしかないし、それに見合った行動を伴わせるしかない、ということになってきますから。

 この法制の仕掛けの一番危険なところは、そこなんじゃないかと」

 この安保法制の閣議決定、衆院の強行採決、本会議通過により、失ったもの、棄損されたものについては、「まず、理屈を突破された、というのが非常に痛いと思う。憲法学者が今回、いろんな形で言おうとしたのは、理屈が通らない、ということですね。とにかく、理屈だけで、本当は恐ろしい権力の顕在化を防ぐというのが、法治主義、立憲主義ですからね。だから、理屈だけは守ってもらわないことには、どうにもならないわけですよ」

 さらに安倍自公政権は「クーデター」と指摘している。以下、ビデオニュース・ドットコムのテキスト文より。

 「憲法の条文を改正する手続きを定める憲法96条は、憲法の中では他のすべての条文よりも高い位置にある。それを壊す行為は憲法そのものを転覆させる行為であり、これを法学的には「革命」と呼ぶが、「革命」が成功するためには国民の支持が必要だ。しかし、日本国民は憲法96条の改正を支持しなかったため、「革命」は失敗に終わった。

 ところが安倍政権は今度は、国民を置き去りにしたまま、政府レベルで法秩序の連続性の破壊を図った。内閣法制局長官を集団的自衛権容認論者にすげ替え、集団的自衛権の行使容認を閣議決定し、政権与党のみで法案を国会を通してしまった。国民から支持を受ける「革命」に対し、国民を置き去りにした状態で法秩序の連続性を破壊する行為を、法学的には『クーデター』と呼ぶ」

 「参考人として呼ばれた3人の憲法学者にことごとく違憲の烙印を押され、憲法学者はもとより世のほとんど学者も、歴代の内閣法制局長官も、こぞってこの集団的自衛権を認めるこの法案は違憲であると主張していた。こうした主張に対する政府・与党側の反論は、集団的自衛権とは何の関係もない砂川事件の最高裁判決で集団的自衛権は禁止されていないという、およそ屁理屈にもならないようなお粗末なものだった。また、今回の法整備によって日本の抑止力が高まるという政府の主張も、根本的な部分に誤謬があることも明らかになった。

 理屈の上では安保法制をめぐる安倍政権の主張は完全に敗北していた。しかし、にもかかわらず論理的に破綻している法案が閣議決定され、7月16日の衆院通過で事実上の成立が決まってしまった。

 理が通らない政策が数の論理によって押し切られてしまったことで、日本が「法秩序」を失ったことの影響は大きい。今後、この法案がもたらすであろう個別の問題を考えただけでも目眩がしそうだが、より高次元で日本の法秩序が破砕されたことの影響は恐らく安全保障分野だけにとどまらないだろう。われわれの多くが、日本という国の政治の頂点で、「理」が「無理」によって押し切られるところを目撃してしまった。これによって戦後われわれが大切に育て、守ってきた「公共」空間が壊されてしまった」



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