ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一

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X JAPANのToshlが“洗脳の手口”を告白

2014年10月02日 | Weblog

 平成二十六年九月二十六日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号
 
「朝刊ピックアップ」で記事 
 
「X JAPANのToshlが“洗脳の手口”を告白」
 
を企画、取材、執筆しました。

 

 けさの毎日新聞に「Toshlさん会見『洗脳恐ろしい』」という記事が写真入りで載っている。それによると、ロックバンド「X JAPAN」のボーカルToshl(以下「トシ」と表記)(48)が昨日、都内の日本外国特派員協会で記者会見し、自らの経験を記した著書「洗脳 地獄の12年からの生還」(講談社刊)について語り、「若い人たちは必ず将来に不安になったり、迷ったりする。そのような若い人たちに道を外さないような一つのきっかけになれば」と筆をとった決意を明かし、カルト教団の洗脳の手口について「疑いの心こそ自分がだめ(な証拠)だとすり込まれる。それが洗脳の恐ろしさ」と振り返ったという。

 その洗脳の実態は同書に詳しい。それによると、トシはX JAPANで人気絶頂の中、父の死去や兄や友人との金銭トラブル、バンドメンバーとの不和などの人間関係で悩む中で、93年にタレントの守谷香と知り合う。その後、守谷は、頻繁にトシに手紙を送り、スピリチャルや精神世界の話をし、「ありのままのトシさんでいいんだよ」「あなたの中の宇宙をもっと信頼して」などと言い、徐々に心を許し交際することに。その後、守谷はMASAYAというアーティストのCDをおもむろにかけて「この曲を聴くと自然と涙が出るの。素晴らしい曲だわ」と言った。MASAYAとは、自己啓発セミナーを行う株式会社ホームオブハートというカルト集団の教祖。

 その後、守谷は「もうX JAPANなんてやめていいんだよ」など執拗に迫り、トシはメンバーに脱退を宣言し、守谷と結婚した。その後、守谷はトシを誘ってMASAYAのセミナーに参加。その後も集会に頻繁に参加にする中で、トシは徐々に洗脳されていった。

 洗脳の手口は、まず、「シェアー」と呼ばれる、子どもの頃の悲惨な体験や気持ちをみなの前で語り、体験を共有する実習。トシは兄や母から受けた心の傷を語った。

 次ぎに「セラピー」。これは、そうした過去のトラウマに対する恨み、怒りを身体全体で表現するため、丸めたマットレスを母や兄に見立てて、怒りをぶつける、というもの。八畳ほどのセラピールームと呼ばれる地下室で、教祖MASAYAや周りの信者が「そのナイフで、母親のはらわたをえぐりだしてずたずたにしろ!」「兄貴の目ん玉をえぐり出せ!」など煽る中で、トシは洗脳状態となり発狂して「ウォ~!!この野郎!死ね!死ね!」と二時間以上も絶叫。

 また、「フィードバック」という実習もある。これは、うつぶせになった状態で、他の信者から、耳元で「最悪のエゴ男」「化け物アゴ男」などと罵倒され、背中などをバンバンと強く叩かれ続けた上、MASAYAの曲が大音量で流れ、「自分は最悪なエゴ人間に成下がってしまったと、泣いていいんだよ!」と言われる。トシは恐怖と怒号で号泣。すると、守谷ほか女性信者たちがヒステリックに叫んで背中を強打しながら「このエゴ男!」「気持ちわりー劣等男!」と罵倒する。

 セミナー3日目には、すっかり洗脳され、参加者の前でトシは泣き崩れながら「地球や子供たちに貢献するようなことたでけを貫いて生きていくことが大切なのだと気づきました」と語るようになった。

 その後、「エンロール」と呼ばれる、セミナーへ知人を勧誘することを命じられ、何人連れてこられるかの誓約(「コミット」)、達成状況の報告も指示された。

 トシが10人エンロールするとコミットすると、少ないと言われ、「フィードバッグ」で、守谷から「いい加減にしろこのアゴ男!」と罵声や暴力を浴びせられ、1000人のエンロールを約束。

 その後、トシは、ホームオブハートの広告塔となって、全財産に近い計15億円以上をホームオブハートに貢ぎ続けた。すると罵倒、暴力はさらにエスカレートしたが、X JAPAN再結成を機に、外部の人々と交わる機会が増えるなかで、トシは徐々に冷静になり、カネ目的で利用されていることに気づいた。その上、妻の守谷とMASAYAが一緒に寝泊まりしている証拠を目の当たりにしたことで、目が覚め、洗脳から抜け出す事ができたという。

 人の悩み、心の隙間につけむカルト集団に、人生を狂わされないよう、トシの実体験を教訓にしたいところだ。(佐々木奎一)

 

 PS 12年を棒に振った気持ちは痛いほどよくわかる。世の中には、前半生を台無しにして生きている人もいる…。だが、生きているうちに洗脳が解ければ、まだましかもしれない。一生洗脳される人もいるし、子孫まで洗脳する人も多い。

 カルトの特性は、人の悩みの相談に乗っているようでいて、相談後に、対価、代償を伴う点。その最たるものが、信者拡大のための無償労働と金。そのための装置が教祖と教義(ドグマ)。麻原彰晃然り、池田大作然り、MASAYA然り…。信者は、教祖のことを絶対的に信じるよう、教え込まれ、刷り込まれ、洗脳されていく。


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