ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一

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コーヒー「1日3~4杯」心臓病など死亡リスク4割減

2015年05月15日 | Weblog

 平成二十七年五月八日付、auの「朝刊ピックアップ」で記事 

    「コーヒー『1日3~4杯』心臓病など死亡リスク4割減」

    を企画、取材、執筆しました。

 

 けさの産経新聞に「コーヒーで長寿アシスト『1日3~4杯』心臓病など死亡リスク4割減」という記事がある。これは国立がん研究センターや東京大などの研究チームが7日に公表したもの。

 同センターHPにある原資料によると、この調査は90年と93年に、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、東京都葛飾区、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古、大阪府吹田の11保健所管内の住民のうち、がんや循環器疾患になっていなかった40~69歳の男女約9万人を、2011年まで追跡した調査して、習慣的コーヒー摂取と、がん、心疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患、外因による死亡との関連を調べたもの。

 それによると、コーヒーを1日3~4杯飲む人の死亡リスクは、全く飲まない人に比べ24%低く、一日4杯までは飲む量が増えるほど危険度が下がる傾向が統計学的有意に認められたという。(死亡リスクを、コーヒーをほとんど飲まないを1とした場合、1日1杯未満0.91、1日1~2杯0.85、1日3~4杯0.76、1日5杯以上0.85)

 また、死因別に調べたところ、がんとの有意な関連はみられなかったが、心疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患については、コーヒー摂取による有意な低下がみられたという。(いずれも1日3~4杯がもっとも効果があり、死亡リスクを約4割下げている)

 死亡リスクの低下の理由は、第一に、コーヒーに含まれるクロロゲン酸が血糖値を改善し、血圧を調整する効果がある上に、抗炎症作用があるため。

 第二に、コーヒーに含まれるカフェインが血管内皮の機能を改善する効果があるため。カフェインには気管支拡張作用があり、呼吸器機能の改善効果があるのではないかとも言われており、これらの効果が、循環器疾患や呼吸器疾患死亡につながる危険因子の調整に寄与しているのかもしれない、という。

 なお、この研究では、缶コーヒー、インスタントコーヒー、レギュラーコーヒー、カフェインとカフェイン抜きコーヒー、砂糖、ミルクの有無などは、一切問わず、ひとくくりにコーヒーとしているという。

 このように、コーヒー愛好家にとっては朗報といえそうだ。

 なお、コーヒーに含まれる「カフェイン」には、利点もあれば欠点もある。メリットは上記の点以外にも、興奮作用により、脳内の中枢神経に働き、眠気を覚まし作業効率をアップさせる効果。一時的な血管収縮作用による鎮痛効果。血液の流れをよくすることによる疲労回復効果。また、利尿作用もある。

 他方、デメリットとしては、過剰摂取による「カフェイン中毒」がある。これは頭痛、倦怠、朦朧、不安、気分の落ち込み、嘔吐、集中力低下、眠気などの症状を引き起こす。

 ほかには、カフェインの胃液分泌を促す働きによる、胃痛。鉄分や亜鉛などミネラルの吸収を阻害する性質による貧血。睡眠の質の低下。心拍数の増加や血圧の上昇。冷え性。母体が摂取したカフェインにより、胎盤を通じて胎児へ酸素と栄養素が送られにくくなることによる流産。シミの原因であるメラニンを拡散させ、シミの発生、拡大を促す、など。(参照:eonet.jp「コーヒーの飲みすぎは危険?カフェイン依存症」(監修:福本認知脳神経内科・福本潤氏)

 要するに、死亡リスクが下がるという調査結果が出たからといって、飲み過ぎは身体に悪いであろうし、そもそもコーヒーを少し飲むだけでカフェイン中毒の症状が出る人もいる。そういう人にとっては、リスキーな飲み物でしかない。

 それに、コーヒーを毎日飲めるということは、胃腸が丈夫な証拠なのではないか(コーヒーには、胃のほかに腸を刺激する成分もある。医師への相談サイト「アスクドクターズ」より)。つまり、コーヒーが要因というよりも、コーヒーをガブガブ飲める胃腸が要因で、冒頭のコーヒーを飲んでいる人は死亡リスクが低い、という結果になった面もあるのではないか。そうであれば健康のためにコーヒーをせっせと飲むよりも、胃腸を丈夫にすることを心がけた方が、よっぽど効果はある。今回の調査結果は、そういった点を割り引いて見た方がよさそうだ。あくまでコーヒーが好きで飲んでいたら、副次効果で健康にもよいらしい、という程度に考えた方がよいのではないか。(佐々木奎一)


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1 コメント

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感想 (感想)
2015-05-20 14:07:55
このニュースを見聞きして、コーヒーを飲まなきゃいけない、飲んだ方が良い、となるのが怖いですね。

カフェインが合うかは体質によりけりですから。

爽健美茶がノンカフェインになったのは割と最近のことですが、コカコーラの自販機ではノンカフェインのお茶や水が売っていないケースが多かったですよね。

コカコーラゼロに入っている人口甘味料の有毒性にも日本は欧米に比べると関心が低いですし。

コカコーラやマクドナルドはメディアの大スポンサーですが、こうした記事が増えて欲しいですね。
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