ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一

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「新国立競技場」で異論封じる自公政権と全国紙

2015年07月13日 | Weblog

 平成二十七年七月十日付、auの「朝刊ピックアップ」で記事 

 「「新国立競技場」で異論封じる自公政権と全国紙

  を企画、取材、執筆しました。

  コストが高過ぎるとの批判の多い2020年東京五輪・パラリンピックの主会場「新国立競技場」。各国の五輪スタジアムの総工費は86年のアトランタが246億円、00年のシドニー414億円、08年北京502億円、12年ロンドン828億円(9日付ジャパンタイムズより)。それに比べ、新国立競技場の総工費は2520億円と、ケタ違い。しかも、作った後の維持費も年間35億円で、賄うすべはなく赤字に陥る見込みだ。そのため「税金の無駄遣い」と批判を浴びているというわけ。

 そうした国民の声を無視して、安倍政権は新国立競技場の建設をごり押ししている。そんな中、けさの朝日新聞に「自民内、新国立でも異論封じ? 細田派会合、批判自粛求める」という記事がある。それによると、「新国立競技場の総工費が2520億円に膨らんだ問題について、自民党細田派の9日の会合で、批判的な発言の自粛を求める場面があった。同派は安倍晋三首相や森喜朗・東京五輪・パラリンピック組織委会長、下村博文文部科学相の出身派閥。身内からの異論で野党の追及が強まるのを封じる狙いがある。出席議員らによると、9日昼に党本部であった定例会合で、首相側近の萩生田光一・党総裁特別補佐が『もう少し安くできなかったのかという思いはある』と述べたうえで、首相が国際オリンピック委員会総会で『このスタジアムでお待ちしています』と発言したことを挙げ、『金のことだけで設計を変更するわけにはいかない』と話した。また、『すでに決定したこと。今から党内で揚げ足を取ると、野党にとって『しめた』という話になる。その辺を含めて支えていただきたい』と訴えた」という。

  このように安倍自公政権が「言論統制」に躍起になる中、公然と自民党内で異論を唱える議員が現れた。それは衆院議員の後藤田正純氏。TBSによると、後藤田氏は今の計画への「危機感」を露わにし、「建設費用が回収できず、維持費も赤字になったら誰が責任を取るのか」「負のシンボルとしての象徴が青山の東京の一等地にぽつんとできて」「何のため誰のためのオリンピックですか。誰のお金なんですか。戦中のまさに玉砕的な何かそういう走り出したら止まらないみたいなね、これはやっぱりやってはいけないんですよ」と憤った。

  そして、「まだ間に合う」といい、代替案をまとめた。それは、オリンピックの後、収容人数を8万人から5万5000人に縮小してプロ野球チームのホーム球場にして、スタジアムの一部を移動してラグビー場に改修するというもの。総工費は今の計画の4割未満の950億円。

  これならタックスペイヤーである国民も納得しそうである。

  なお、この後藤田氏の発言は、どういうわけか、けさの全国紙では一切報じられていない。

  9月に行われる自民党総裁選、ポスト安倍という視点からも、後藤田氏の発言は興味深いにもかかわらずだ。いうまでもなく後藤田氏に国民の期待が集まれば、安倍氏の求心力はさらに急落するのは必至。

 だからこそ、全国紙は、安倍政権に配慮して載せなかったのではないか、と疑わざるを得ないほど統一して報じていない。安倍政権に対する「批判自粛」は自公内部だけではなく、全国紙にも蔓延しているのが実体である。(佐々木奎一)

 

 


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