ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一

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女子サッカーなでしこリーグが「文化」になる道

2015年07月20日 | Weblog

 平成二十七年七月十三日付、auの「朝刊ピックアップ」で記事 

 「女子サッカーなでしこリーグが「文化」になる道」

  を企画、取材、執筆しました。

 

 今日の朝刊は休刊。11日付の朝日新聞は「なでしこ準V スポーツ文化育てよう」という社説でこう記している。

 「スポーツは五輪やW杯など開催時こそ注目を集めるが、(略)一過性の騒ぎで終わらせてはいけない。健闘をたたえつつ、女子サッカーが置かれている厳しい環境や選手たちの思いにも目を向けたい。(略)なでしこジャパンの宮間あや主将は『優勝してこそ、女子サッカーをブームでなく文化にするスタートになる』と語った。

 言葉の背景には、世界王者になっても報われない、マイナー競技としての現状がある。国内女子リーグの1試合あたりの観客数は、W杯で優勝した2011年シーズンに前年の約3倍となる2796人に一気に膨れあがった。その後、ロンドン五輪で銀メダルに輝いた12年は2572人、13年は1865人、14年は1597人と減り続けてきた。なでしこの人気とブランド力は上がったが、女子サッカーの普及に結びついていないのだ。(略)なでしこを破って優勝した米国の競技人口は150万人を超すといわれる。一方、日本は約4万8千人。子どもたちがサッカーを長く続けられる機会を増やす取り組みを広げたい」

 なお、女子サッカー「なでしこリーグ」は昨日から再開した。昨日の試合後も、INAC神戸レオネッサに2対2で引き分けた岡山湯郷ベル所属の宮間選手は、「多くの人が来てくれて自分たちを後押ししてくれた感じがした。この盛り上がりをブームではなく、文化にできるよう、また見に来たいと思ってもらえるサッカーを続けていきたい」と述べている。(NHKニュースより)

 現状、なでしこリーグは、1部、2部が各10チーム。3部にあたるチャレンジリーグが12チーム。場所は、埼玉や新潟、東京、神奈川に複数のチームが重なっている観はあるが、東北や北陸、中部、四国、九州など各地にもチームはある。

 このなでしこリーグを盛り上げていけば、「町おこし」にもつながり、相乗効果が期待できる。

 例えば、男子サッカーJリーグについての「Jクラブの存在が地域にもたらす効果に関する調査」(2009年8月 株式会社日本経済研究所)によると、1部、2部リーグからピックアップした6チーム(ベガルタ仙台、川崎フロンターレ、ヴァンフォーレ甲府、ガンバ大阪、愛媛FC、大分トリニータ)について、地域住民、自治体、スポンサー、地域企業・商店街、地域マスコミへの効果という観点から調査したところ、「スタジアムでサポーターとしての一体感を感じることにより、『新しいコミュニティのかたち』の存在を感じることができる」(仙台)、「試合後、多くのファンが地域の居酒屋などでフロンターレ談義。サポートショップは8年で7倍以上、応援機運の盛り上がりあり。クラブが全区の区民祭、商店街・地域イベントに多数参加、会場を盛り上げる」(川崎)、「スタジアムへのアクセスに利用される市営地下鉄の赤字軽減への貢献」(仙台)、「地方都市において常時10,000人以上を集客するイベントが年間20回あるというインパクトの大きさ。これに代わるイベントは県内で他になし」(甲府)、「スポンサーをしていることにより、他企業に自社を紹介するときにも、通りが良い」(甲府)、「地域の知名度向上やイメージアップについては大いに感じている」(愛媛)、「商店街におけるパブリックビューイングやイベントへの参加において、常に数百~数千人を集客」(大分)などの効果があるという。

 同調査では、「社会的企業」としての性格を持つJクラブは「地域の重要無形文化財」になりうる、と結論付けている。

 なでしこリーグも地元に根差していけば発展していくに違いない。そのためには、地元メディアがもっと熱心に報道や試合中継したり、自治体が広報やイベントのバックアップをしたり、地域企業がスポンサーとなって後押ししていく必要がある。(佐々木奎一)


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