ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一

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ぼったくり横行“不夜城”新宿歌舞伎町の今

2015年07月08日 | Weblog

 平成二十七年六月十四日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号
 
「潜入! ウワサの現場」で記事
 
ぼったくり横行“不夜城”新宿歌舞伎町の今
 
を企画、取材、執筆しました。

 

 欲望渦巻く“不夜城”新宿歌舞伎町――。この街で最近急速に「ぼったくり」が横行している、と6月7日付のジャパンタイムズで報じられていた。なんでもNHKニュースによると、今年だけで警視庁が受け付けた歌舞伎町での法外なぼつたくり被害相談は、少なくとも1000件に上るという。これは一年前の10倍もの桁違いの数字という。つい先日も歌舞伎町のぼったくり店のスタッフが捕まった。 

 それは5月29日、歌舞伎町のキャバクラ店「LUMINE(ルミネ)」従業員の奥村義彦(36)(中野区)、篠塚康幸(45)(杉並区)の両容疑者を都ぼったくり防止条例違反容疑で逮捕した事件。この2人は3月11日、男性客2人に「全部で3000円です」とウソを言って来店させ、威圧的な態度で飲食代24万円を請求した疑い。警視庁によると、この店は開店した今年2月以降、ぼったくり被害相談が239件寄せられていた。(5月30日付読売新聞朝刊) 

 被害は外国人にも及んでいる。このため、米国大使館は6月1日、アメリカ市民に対し、東京で安全に夜外出するための警告を発した。

 そのメッセージには、まず、日本では、米国民に対し、しばしば窃盗または詐欺、まれに暴行も加える犯罪もある、アルコールに睡眠薬などの薬物を入れて略奪されたという犠牲者も増えている、特に六本木と歌舞伎町は、犯罪のハイリスクエリアで、アルコールに睡眠剤導入、クレジットカード横領、ゆすりたかり、襲撃といった被害報告を米国大使館は受けている、といい、箇条書きでこう警告している。 

 もし、あなたが東京のバーやナイトクラブに出かけるなら、クレジットカードとデビットカードは、ホテルの安全な場所に置いていくことを考えてください。 

 あなたは、現金を、出費する気がある分だけ持って、出かけてください。 

 一人で出かけないで下さい! 友達を連れていき、一緒にいてください。 

 客引きのいるバーやクラブには絶対に入らないで下さい! 

 なかには、特に外国人向けの客引きもいます。これらの客引きはとても攻撃的で、多くの事件が米国大使館に報告されています。もしそういう人間に出会ったら、通り過ぎるのがベストです。 

 フリードリンク(無料)で飲めます、という話には乗らないでください! 大使館に届けられる多くの事件は、フリードリンクという言葉で誘惑しています。 

 飲み物から目を放さないでください! 特に六本木や歌舞伎町では、酒に睡眠薬を入れてのクレジット詐欺、強盗、さらに身体的で性的な暴力さえありました。 

 犯人は、酔っ払いを狙い撃ちします。 

 このように米国大使館は注意喚起している。やはりただ事ではない。 

 私ごとだが、筆者は4年前に引っ越しをするまで、10年以上に渡って新宿区内に住んでいたことがある。だから、多少は歌舞伎町の雰囲気や街並みを知っているつもりである。 

 歌舞伎町は今どうなっているのか? それを観るため、6月10日(木)21時20分頃、歌舞伎町を久々に歩いてみた。 

 平日だから人は少ないだろうと思いながらJR新宿東口から地上に上がると、意外にもたくさんの人がいた。多くは帰り方向の人たちだが、中には歌舞伎町に向かう人もいる。アルタの横のストリートにはタバコを吹かしたり、雑談をしている人、歌舞伎町に向かう人などなど、結構な人がいる。そして、靖国通りの信号を渡り、歌舞伎町一番街に入った。相変わらずのネオン街で、キャバクラや風俗案内店の看板がひしめいている。キャバクラの店の前には、店員が突っ立っているが、声はかけてこなかった。 

 すると、仕事終わりの土方の中年男性3人組に、帽子を被った30代位の男が声をかけ始めた。その男はまず、「ちょっとした居酒屋とか、オネーちゃんのいるところなら、紹介しますよ」と3人組に言い寄っていた。3人組はすでにどこかで飲んで来たようで顔が赤い。その後10分近く、話し合い、その客引きの男に誘導されながら3人組は行ってしまった。 

 コマ劇場のあった場所に着いた。取り壊したという話は聞いていたが、ゴツゴツした建物のシネコンとホテルに様変わりしており、1階ではクレープを売っていた。久々に歩く歌舞伎町の雰囲気は、ほとんど前と変わっていない印象を受ける。だが、このコマ劇場のあった場所だけは、様変わりした観がある。 

 そこから風林会館という、かつてはヤクザのたまり場になっていた喫茶店のある場所へ向かった。途中、20代前半、180cm前後の、細身の客引きの男が、突然、「何かお探しですか?」と話しかけてきた。「客引きですか?」と筆者が聞くと、その男は、「いや、何かお探しのようだったので…」と言うのみだった。 

 風林会館が遠目で見えてきたところで、たばこを吹かしている、短パン、金髪の推定20代前半の男が、「キャバクラいかがですか?」と言った。「ぼったくりでしょ?」と筆者が聞くと、その男は「ちがいますよ…!」と少し強い語調で否定していた。 

 風林会館のそばまで来た。筆者はかつて、風林会館付近に陣取っていた客引きY氏と知り合いだった。だが、5年以上会っていない。もうY氏はいないだろう、と思いつつ、いつもY氏が立っていた位置に目を向けると、Y氏は、いた。 

 お久しぶりです、と挨拶したところ、Y氏は「何、取材?」と言うので、事情を説明した。するとY氏はこう語った。 

 歌舞伎町は、ここ1、2年で急速にぼったくりが増えている。ぼったくりをするのは20代前半位の若造が多く、闇金から流れて来た連中が多い。

  6月8日の夜に、ぼったくり店のスタッフ10数人がパクられてから、大分、ぼったくりは減った。だが、まだある。 

 これまで警察は、民事不介入を理由に、ぼったくりを放置してきた。そのため、派出所の前には、ぼったくり被害を訴える客とぼったくりスタッフが、10組ほどもいて、払え払わないの口論をしている光景が日常だった。警察は、まるで懐に金を入れてるんじゃないかというくらい、何もしてこなかった。 

 だが、警察は今月に入り一変した。 

 被害を訴える客は、新宿警察署、店のスタッフは四谷署に連れて行くようになった。そして客に対して警官は、法外な値段が記載された請求書を、客の目の前でビリビリに破り、こんなものは払わなくていいんだ、と言うようになったという。 

 Y氏の話は以上だった。なるほど、かつての歌舞伎町の雰囲気と変らないと感じたのは、警察がぼっくりを激減させてるためだったというわけだ。やっと安心してこの街で飲めそうである。(佐々木奎一)

 


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