ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一

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高齢者の“暴走運転”がなくならないワケ

2013年01月18日 | Weblog

2012年12月21日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号
 
「朝刊ピックアップ」で記事 
 
「高齢者の“暴走運転”がなくならないワケ」
 
を企画、取材、執筆しました。

 

 けさの各紙に、都内の喫茶店に車が突入し、4人が死傷した、という記事がある。これは昨日の午後4時55分頃、東京都西東京市柳沢の西武新宿線西武柳沢駅前の喫茶店に、同市内の男(80)が運転する自動車が突っ込んだ事件。これにより店内にいた同市の会社経営者の男(74)が死亡したほか、車に同乗していた80歳代の女性3人が顔や肩にけがをしたという。

 こうした高齢者の暴走事故は後を絶たない。例えば今年2月には、静岡県浜松市内のスーパー「バロー有玉店」で、同市内の無職の男(80)の車が、店舗入り口横の柱に突っ込み、本人と助手席の夫人(76)が死亡。(日本経済新聞)

 今年7月には、静岡県磐田市内のスーパー「遠鉄ストア磐田店」で、同市内の無職の男(84)が軽乗用車で店内に突っ込み、買い物客らが巻き込まれ5人が死傷。(読売新聞)

 高速道路の逆走も多い。10年1月には、鹿児島市の指宿スカイライン中山インターチェンジ(IC)付近で、南九州市の男(82)が逆走し、対向の車と、後続の車に相次いで衝突し、本人は死亡。4人が重軽傷。(同)

 同年3月には山口県岩国市の山陽自動車道玖珂—岩国インターチェンジ(IC)間上り線で、同市内の無職の男(82)が軽自動車で8.5km逆走し、中型トラックと正面衝突し死亡。(同)

 こうした高齢者の暴走を食い止めるため、近年、国を挙げて「運転免許証の自主返納」を促しているが、それでも事故はなくならない。これについて興味深いデータがある。今年5月23日付の毎日新聞朝刊の記事「運転免許証 自主返納『NO』4割以上」によると、広島県警が高齢者1,837人を対象にアンケートをしたところ、「運転免許証を返納したいと思わない人」が4割以上に上ったという。理由は、「運転しないと不便」が70.7%、「運転に自信がある」が21.8%。

 また、高齢者の外出目的の1位は、「買い物」(68.6%)で、2位が通院(38.9%)という。つまり、高齢者の暴走事故の多くが近所で勃発している。そのため、全国の自治体では様々な取り組みをしている。免許返納をした高齢者には、タクシー料金の補助やバスの無料回数券の交付(埼玉県内の13市町など全国で多数)や、鹿児島県では温泉入浴割引(指宿市)、焼酎プレゼント(伊佐市)、買い物の無償代行サービス(霧島市、鹿屋市)といった趣向をこらしている。(毎日新聞)

 車メーカーも対策を進めている。例えばトヨタ自動車は今年11月、駐車場などでアクセルとブレーキを踏み間違えても、音波で車の前や後ろにある壁などの障害物を検知し、警報を鳴らすとともに、自動でブレーキをかけ、エンジンの出力を下げる技術や、運移転中にブレーキの踏み込みが甘い場合、踏む力を2倍に補助して急減速させたり、追突前に自動でブレーキをかける装置を公開した。(日本経済新聞)

 人々が何気ない日常を過ごすなかで、いきなりアルカイダの自爆テロのように車が突っ込んできて、人生を台無しにしてしまう。そんな悲劇をなくしていくため、高齢者や周囲の人たちの良識が求められる。(佐々木奎一)


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