ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一

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二木啓孝氏が語る、すでに始まったNHK内部の委縮

2014年02月17日 | Weblog

 平成二十六年一月三十一日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号
 
「今日のニュースに一言」で
 
 ジャーナリスト・二木啓孝氏の記事
 
「二木啓孝氏が語る、すでに始まったNHK内部の委縮」
 
を聞き書きしました。
 


 NHK新会長になった籾井勝人氏の就任会見のひどさが問題になっている。籾井氏は「政府が右と言うことを左と言うわけにはいかない」と言い、秘密保護法については、「秘密法は政府が必要と説明しているので、様子を見るしかない。あまりかっかすることはない。政府の中にはメディアは反対ばっかりで、賛成があってもいいという意見もある」と発言。

 また、従軍慰安婦については「戦時中だからいいとか悪いとかいうつもりは毛頭無いが、この問題はどこの国にもあったこと。韓国だけにあったと思っているのか。戦争地域にはどこでもあったと思っている。ドイツやフランスにはなかったと言えるのか。ヨーロッパはどこでもあった。なぜオランダには今も飾り窓があるのか。慰安婦そのものは、今のモラルでは悪い。だが、従軍慰安婦はそのときの現実としてあったこと。会長の職はさておき、韓国は日本だけが強制連行をしたみたいなことを言うからややこしい。お金をよこせ、補償しろと言っているわけだが、日韓条約ですべて解決していることをなぜ蒸し返すのか。おかしい」と発言した。

 もともとこの籾井氏は、NHK会長を決める経営委員会10人のうち5人が安倍首相に近い“お友達”を入れた末の人事である。従って今の政権と極めて近いというふうに見ていい。

 そうであるが故に、NHKという公共性の高い放送のトップに就任したなら、なおさら公平性が求められるのだが、会見での発言はどうみても放送のトップに立つ人の発言としては失格である。

 菅官房長官は、これは個人的な見解である、問題にせず、という姿勢だが、会長就任会見が個人であるはずがない。

 NHK会長は、放送番組の中身について管理指導する権限を持っているから、この会長発言は極めて重い。

 案の定というべきか、NHKラジオ第一放送で30日朝に放送する番組「ラジオあさいちばん」の「ビジネス展望」というコーナーで、中北徹・東洋大教授が「経済学の視点からリスクをゼロにできるのは原発を止めることが必要」とコメントする予定だったが、NHK側がこれに難色を示して、中北教授が出演を拒否。中北教授はこれまでも「視点・論点」(総合テレビ)などにも出演をし、「ラジオあさいちばん」では約20年間、「ビジネス展望」を担当してきた人物である。

 これは偶然の一致ではない。こういう考えの会長が就いた場合、NHKの下まで、指示がなくても委縮することは間違いない。その第一弾である。

 NHKは、職員1万人強、年間の予算は7千億円弱。文字どおりの巨大メディアであり、世論や国家を左右する力がある。その会長に今の政権との関係が極めて近い会長が就く。これで果たして公平性は保たれるのか。ちなみに、この籾井会長の発言について、NHKではテレビ、ラジオとも一切報道していない。

 


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