ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一

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授業の無料公開が拡がる米国の大学と閉鎖的な日本の大学

2013年05月17日 | Weblog

2013年4月29日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号
 
「朝刊ピックアップ」で記事 
 
「授業の無料公開が拡がる米国の大学と閉鎖的な日本の大学」
 
を企画、取材、執筆しました。

 

 4月25日付の朝日新聞朝刊に「無料動画で変わる授業」という記事がある。これによると、米国のサルマン・カーン氏(36)は、06年に自分の授業をユーチューブに投稿し始めた。すると、反響があり、今では毎月500万人超が利用しているという。

 ちなみに、米国では大学が無料動画を公開しているケースもある。3月6日付の同紙朝刊の記事「教育をタダにする オンライン授業の衝撃 上」によると、米マサチューセッツ工科大学(MIT)は01年、授業の無料化に踏み切った。きっかけは、他大学が教材のオンライン化をしているのに、MITは乗り遅れていたことだった。当時の学長は、どう試算しても挽回策はない、という諦めの中で、無料という突拍子もないアイデアをひねり出したのだという。「世界に役立つ知識を広める」という大学の理念とは合致していたが採算度外視だった。

 初年度に参加した教員は1千人中、たったの50人。「なぜ無料で見せなければならないのか」という抵抗が強かったが、ネットをみて優秀な学生が入学してきた。その後、参加する教員が増え、利用者も拡大。

 12年からは、ハーバード大と提携して「ムーク」という無料講義を始めた。受講者は映像で講義を見るだけではなく、宿題や試験を経て、修了証を受け取ることもできる。受講者は世界中に広がっている。

 なお、大学側は慈善事業でやっているわけではなく、受講者の得意分野や成績を把握し、企業とも提携して、優秀な人材獲得につなげている。米国では同様の無料講義のうねりが起きているという。

 ひるがえって日本をみてみると、どうであろう。MITを真似たオープン・コース・ウェアという無料講義を、東大や京大、阪大、名大といった国立大、早稲田、慶応、上智、同志社、関西大といった私大が、一応、公開している。しかし、肝心の授業数自体が極少で、テキストで授業の概要のみを公開している大学も多い。

 要するに、無料公開すると学生が来なくなり経営が成り立たなくなる、と恐れているかのような閉鎖ぶりなのである。

 しかし、公開することで優秀な人材がやってくるという実例もある。日本の学力の底上げのためには、MITのようなオープンな大学が必要であろう。(佐々木奎一)


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