ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一

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『報道の自由度』世界61位、悪化する日本

2015年02月16日 | Weblog

 平成二十七年二月十三日付、auの「朝刊ピックアップ」で記事 
 
「『報道の自由度』世界61位、悪化する日本」
 
を企画、取材、執筆しました。


 けさの朝日新聞に「報道の自由『世界で悪化』 日本、二つ下げ61位 国際NGO」という記事がある。それによると、国際NGO「国境なき記者団」(本部・パリ)は昨日、「報道の自由度ランキング」を発表した。180か国中、例年通り、上位は北欧諸国で、北朝鮮や中国が最下位グループだったという。

 そして、日本は二つ順位を下げて61位。同団体は、昨年12月に施行された「特定秘密保護法」を取り上げ、「不当に」情報を得た記者らも懲役刑の対象となった、と順位の低い要因を指摘したという。

 なお、今回の順位には反映されていないが、「シリアに渡ろうとしたフリーカメラマンの旅券を日本政府が取りあげた問題について、アジア担当のベンジャマン・イスマイール氏は朝日新聞に『明らかに報道の自由の侵害だ。取材に行くかどうかはメディアやジャーナリストが決めるものだ』と強調した」という。

 この旅券取り上げ事件は、新潟市のフリーカメラマン杉本祐一氏(58)が、2月下旬からトルコ経由でシリアに入りクルド人難民キャンプの様子や支援する非政府組織(NGO)などを取材しようと計画したところ、2月初旬、外務省から自粛要請を受け、杉本氏は「過激派イスラム国の影響が及ぶ地域には、安全が確保されなければ立ち入るつもりはない」と回答したが、数日後、新潟県警から「行かないでもらいたい」と言われ、2月7日夜、外務省職員と県警警察官が杉本氏の自宅を訪れ、返納命令書を読み上げた後、「応じなければ逮捕もあり得る」と迫られ、シリア行きを断念したというもの。(2月8日付日刊スポーツ電子版より)

 この事件について、ジャーナリストの鳥越俊太郎氏は、9日付のTBSラジオ「大沢悠里のゆうゆうワイド」で、こう語っている。「私もイラク戦争のとき、イラクに入りましたし、そのほか、戦場の取材、なんべんもやってますけど、やっぱり覚悟して行くわけですよね。自分でなんかあったときは仕方がない、と思って行くわけで、そういう人がいなければ、危険なところで何が起きているのかは、一般には知らされないわけですよね。僕はやっぱり、そういうことを前提で覚悟をして、どんなところにも取材に行く、そういう記者たちの存在が必要だと思います。そういう意味で、一律に全部、外務省や警察が、行くな、逮捕する、というのは、表現の自由、報道の自由に触れて、行き過ぎですね」「自己責任ですよ。僕もイラクのチクリットという、サダムフセインが隠れていた洞穴に行こうとしたときに『危ないところなので行くな』とみんなに止められたんですよ。それでも行きました。その日は、朝起きて、ホテルのベランダでカメラを構えて、妻と娘たちに遺言を遺して、そのテープはちゃんと抜いて部屋に置いて行ったんです」

 実際に、戦場取材をしてきた人物の発言だけに、傾聴に値するといえよう。

 なお、この国では、政府に期待することといえば、真っ先に、景気回復、を挙げる国民が多い。それだから政府も経済政策に力を入れるわけだが、所得を上げることだけ考えても、真の豊かさは得られない、という識者は多い。様々な自由が確保されている環境というのは、お金には代え難い権利といえよう。言論・報道の自由度が発展途上段階にある日本は、その面で、伸び代がある。その潜在能力を、今後、右肩上がりで伸ばしていくと、この国は一層豊かになっていくのではないか?(佐々木奎一)


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