2月17日
博多市内で朝を迎え、福岡城址の舞鶴公園へ足を運びました。
夜は開けていますが、東の空に雲があり、フィルター越しのような柔らかな光の中、紅白の梅の花が優しい表情を見せていました。
心の中に巻かれていた菰が、ゆるゆると解け落ちるような思いで、暫し眺め続けました。
すぐ横の大濠公園へ足を向けると、鏡のような水面が朝の光りを映し、時を止めたような静寂に包まれていました。
人影の少ない公園を、白いコート姿のお嬢さんが通り過ぎて行きます。
そうだったのですね。
梅の花が咲き始めても、首の周囲には冷気が漂い、季節はまだ、博多乙女に冬の装いを求めています。
大濠公園の一隅の、「国際友好の森」の紅梅が、朝の仄かな光にほころんでいました。
何時の間にか雲は流れ去って、明るい光の中で博多の街が目覚め始めています。
東京を出てから約二週間、博多の街で、今まで出会ったことのない、ちょっと贅沢な朝を楽しむことができました。
都心の南へ移動します。
訪ねた場所は平尾山荘跡。
この場所は、幕末に活躍した女流歌人野村望東尼が暮らし、勤王志士の交流の場となった所だそうです。
高杉晋作もこの場所に身を寄せたことがあるそうです。
如何にも、肝の据わった博多女子といった面構えの胸像が朝陽を浴びていました。
私はこの後、福岡植物園の開聞を待って園内へ入り、フイルムカメラで「四季の花」に使う写真を撮って過ごしました。
今度何時来れるかは分かりません。
時計草が赤く咲いて、目の前に過ぎゆく時を示しています。
そう、時は二度とは戻ってこないのです。
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