県道46号から国道3号へ入ると、目の前に海が広がりました。
鹿児島県の最北部に位置する出水市の名護港です。
海を隔てた視線の先に長嶋と、その奥に天草の下島が見えています。
そしてこの時、今夜の酒を、対岸に見える下島南端の牛深で飲むことになるとは考えてもいませんでした。
北を望むと、天草諸島の連なりが海の彼方に霞んでいます。
海を眺めるパーキングエリアには、アメリカデイゴと思しき木立の姿を見かけました。
南国らしさを感じさせる光景です。
やがて県境を越えて熊本県に入り、水俣の町を見下ろす中尾山に登ってゆきます。
中尾山334m)に広がる中尾山自然公園には1500本の梅が植栽されています。
季節には早すぎましたが、枝にほころぶ白梅の姿を所々に見かけました。
マテバシイの名札を付けた木が、青空の下で豊かな葉を茂らせていました。
眼下に常緑の森が広がり、水色の海の向こうに蒼い島影が連なります。
中尾山自然公園で冬の気分は忘れました。
水俣の町を過ぎ、国道3号線を北へはしります。
幾つかの川を渡りました。
白い雲を映し、漣が揺れる川面に、水鳥の戯れを目にしました。
数時間前、山の木立に薄雪を見たのが夢だったかもしれないと思える、春の水辺の光景です。
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