読書の記録

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地下展

2008年01月16日 | サイエンス
地下展---日本科学未来館---番外編

今回も番外編。先日、もうじき開催期間が終える「地下展」を見にお台場に行った。
なんだか興味をそそるポスターだったので気にはなっていたのだがいよいよ終了するというのでいざ繰り出してみたのである。駅などで見るポスターの絵柄はマンホールのフタが開いた絵柄だったので、展示の中身は、下水道などの都市の地下インフラを扱ったものなのかと思ったのだが、行ってみて、いやそんな卑近なものではない、なかなか壮大なものでとても目ウロコだった。地下をめぐる人知を超えたファンタジーや、科学技術と地球内環境の結合みたいな視点なのであった。

興味をひいたうちのひとつは「ノアの箱舟プロジェクト」と称すもので、北極(正確には北極圏のノルウェー領土)の地下に数百万種もの植物の「種子」を保存するというもの。つまり、永久凍土の地下深くに、農作物の種子を保存することで、破壊的な自然災害や核戦争などの影響を逃れ、次世代の活用を待つという、まさに「ノアの箱舟」なのだった。こんなプロジェクトの存在自体知らなかった。(そういや新型インフルエンザもいよいよそこまで来ている様相だ)

他にもこれまでの地球史で全表土が氷に覆われたことが3回あるという「スノーボールアース」、手にずしりと重量がかかる「地球内部の重さ」。地球の構成物質の周期性をそれぞれ歯車時計にみたてた「全地球時計システム」(正確なところは正直よくわからなかったのだが、その演出と異様な空間に圧倒)。

テーマも面白かったが、それ以上にセンスの良さを感じたのは各種展示方法。対象は地下であり、扱う内容もスケールが大きいものの抽象性が高くて難解だ。それらを、薄暗い空間の中、LEDや白色光を効果的に用いて禁欲的ながらアートさえ感じる展示空間で演出していた。それからスタッフの熱のこもった説明。

最近のこういう企画展は、展示演出がとても洗練されている。建物そのものの自由度もあるだろうが(上野の科学技術博物館はどうしても天井高や廊下の手狭さも手伝って、旧来の横並び展示から逃れにくい)、展示物を「観る」という視点から、「居る」ことの臨場感とでも言おうか、五感を通じてメッセージを発してる。(そういえばこの地下展も、音を聴いたり、匂いをかいだりする展示物もあった)

ところでこの地下展の入り口付近で、あのASIMOの実演をやっていたらしい。時間があわなくてこれは見れず。残念。

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