よつばと!(第七巻)---あずまきよひこ---コミック
旧聞に属するが、先だって正月ドラマ「のだめカンタービレ:ヨーロッパ編」を見ていたら“オタク”のフランス人の部屋に、よつばの巨大なフィギュアがおいてあった。道具係か演出家かただのバイトかわからないが、設置した本人は、よっぽどこのコミックが好きなのだろうなと思った。
それはともかく、牛乳を語る子供に牧場を見せに行くというとーちゃん、この単純にして本質的なソリューション。それに参加するために有給休暇をとる友人やんだの直情にして本格的なフットワーク。現代人の複雑な思考のわりに停滞気味な態度に喝が入っている。この直截的な性善説こそが本作品をユートピアにしているのだろう。
この作品は連載当初から、かなり周到に(マーケティング的にも)色々設定された、もちろん現実にはほぼありえない虚構だが、なぜか作為めいたことを感じない。それどころかどこにでもありそうな錯覚さえ受ける。この「絶対ありえない自然体」は作者のもっとも得意とするところだが、これは逆に言えば、現実がいかに作為めいたもので溢れ、みな疑心暗鬼に陥っていることの鏡でもある。
旧聞に属するが、先だって正月ドラマ「のだめカンタービレ:ヨーロッパ編」を見ていたら“オタク”のフランス人の部屋に、よつばの巨大なフィギュアがおいてあった。道具係か演出家かただのバイトかわからないが、設置した本人は、よっぽどこのコミックが好きなのだろうなと思った。
それはともかく、牛乳を語る子供に牧場を見せに行くというとーちゃん、この単純にして本質的なソリューション。それに参加するために有給休暇をとる友人やんだの直情にして本格的なフットワーク。現代人の複雑な思考のわりに停滞気味な態度に喝が入っている。この直截的な性善説こそが本作品をユートピアにしているのだろう。
この作品は連載当初から、かなり周到に(マーケティング的にも)色々設定された、もちろん現実にはほぼありえない虚構だが、なぜか作為めいたことを感じない。それどころかどこにでもありそうな錯覚さえ受ける。この「絶対ありえない自然体」は作者のもっとも得意とするところだが、これは逆に言えば、現実がいかに作為めいたもので溢れ、みな疑心暗鬼に陥っていることの鏡でもある。