マネー・ボール
著:マイケル・ルイス 訳:中山宥
早川書房
マネジメントの新地平というか、冷徹な定量主義的マネジメント・ドキュメンタリー。ただし、ここで重要なのは、何の数字を最も効果的な評価指標として抽出するか、ということだ。単にみんなが使う打率とか防御率では、真の評価指標にならない。この独創性こそが、ここがやみくもなデータ礼賛とは違うところだろう。
とはいえ、あくまでこれはマネジメントする側の視点。まさにここに表現されているように選手はただのチェスの「駒」であり、交換可能なものとして扱われていく。たとえば3つの能力を持つ他に得難い人材を高い契約料で雇っていたならば、彼が持っている技術をバラして、それぞれの技術を持つ3人をトレードで拾い、その3人の合わせた契約料が、それまでよりも安く済めばよい、というまさにM&Aの発想。マネジメントされる側のモチベーションというのはどうなってるんだろうかとも思う。