読書の記録

評論・小説・ビジネス書・教養・コミックなどなんでも。書評、感想、分析、ただの思い出話など。ネタバレありもネタバレなしも。

35才で独身で

2008年02月27日 | コミック
35才で独身で----秋月りす----コミック

 「OL進化論」からスピンアウトされたシリーズ。たとえば、同じ35才で、独身女性と既婚女性の間でおこる対立や差異は、いわばお約束中のお約束で、いくらでもネタが出てくるという感じだ。

 ところで、同じ「35才で独身」というメルクマールでも、男性と女性でかくも意味合いがことなるのだなあ、と思った。
 なんというのか「負け犬の遠吠え」(およびその先駆としての「結婚の条件」)以降「おひとりさまの老後」の過程の中で、ざらつくものはあっても「35才で独身」の「女性」というのが、ある種社会において普遍化された位置づけに落ち着いてきているなあ(あくまで一般論。個々的にはいろいろあると思う)と思っているのに対し、「35才で独身」の「男性」の存在は、むしろかつてよりも不可視的になっているように感じる。そして「35才で独身」男性の不可視化は、同時に、同年代の既婚男性との差異が何なのかもわかりにくくしている。
 先に挙げたように、同年代の独身女性と既婚女性の間でおこる対立や差異はある種「お約束」で、それは即ちステレオタイプ化されたものが多分にある。しかしステレオタイプ化されるということはそれだけ世間知があるということだが、これと同類の男性版をあまり聞かない。男性同士の溝はそれほど世間の衆目を浴びていない。

 ただ同年代男性の僕として感じることは一方で「子育てに積極的なパパ像」というものが取り上げられており、「忙しいパパのためのハッピー・アドバイス」という育児本がベストセラーになっている一方の現象に対して、世代的には彼らと同年代なはずの独身男性との深い溝というものは、むしろかつてより広がってきているようにも感じるのである。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ルーブル美術館展 | トップ | ボクたちクラシックつながり »