秋の気配が日増しに深まっていく。
様々な種類のりんごがあるが、もう色づいて収穫されているものがある。
これから色づいて収穫されるものもある。
ぶどうもたわわに実っている。
たんぼも稲刈りの真っ盛り。
収穫の秋だ。
この村は上州県境の標高二千メートルの志賀高原から西に向かって開けた扇状地。眼下に千曲川、その向こうに長野市が見渡せる。
そう、坂ばかりの村だ。
この村でランニングをするにはかなりの気持ちの踏み切りというか、踏ん切りが必要だ。ちょっと走って来る、というわけにはいかない。皇居回りを走るように色とりどりのウェアを纏ったランニング女子がいるわけでもない。いるのはサル、カモシカ、狸、狐、時たまリス、いのしし、熊ばかり。
それでも、秋風に誘われて、とっておきの場所に出かける。
坂ばかりのこの村に、ほとんど唯一と言っていい水平横断道がある。その長さは一キロに及ぶ。そこまでは自転車の出番。
突き当りは山、両側はりんご畑やたんぼ。この時期リンゴの収穫や稲刈りをしている農家の人が多い。
今日のランニングメニューはゆっくりラン。一キロ六分台の後半で八キロほど走る。
稲刈りの終わったたんぼにはハゼ掛け米。うまいんだな、これが。
脱穀が終わった稲が干してある。
春には見事なしだれ桜が咲く。その根元にボコ抱き地蔵。
ここは、稲が収穫を待っている。
稲が作られなくなった田んぼにはそばの花。
童謡詩人金子みすゞ、『花のたましひ』メロディ生誕の碑。
いつもここを通るたび、中を覗いてみたい気がするが、気後れしてスルー。
独りで行くには気遅れがする。こんな田舎にそぐわないちょっとおしゃれな雰囲気。
こんな田園を走り抜けられるなんて、ずいぶんとぜいたく。
今ではもう珍しくなくなった稲刈り機。刈って束ねてボンと放り出す。これを見ていると、手刈りでやっていることが馬鹿らしくなる。あっという間に終わっていく。
稲刈りをして脱穀まで終わらせる機械もある。年老いた農家の人には助かるのに違いないが、本音を言えば、味気ない。
この水田地帯は水がきれいで、夏には蛍が舞う。サンショウウオも住んでいる。
ススキが風になびく。秋なんだなあ。
水平道から見下ろした田園風景。
農家の人から見たら、のんきにランニングなんかして、いい身分だ、なんて思われているだろうか。それとも、たんぼにいる鷺のように、自然の風景の一部として、気にもしていないのだろうか。
見慣れないよそ者が、というような見方ではなく、あるがままに受け入れられているような気がする。
田園の中のゆったりランニング、いいものだ。
「どこまでも歩いて行きたい」そんな気持ちにさせられます。華やかなランニングシャツを着て・・・
何度、お写真をみても「いいな」と思います。
時は重加算税のように体力を奪っていきます。サボれば何倍ものツケが回ってきます。
続けること、楽しく続けることが山登りするうえで、必要不可欠だと思っています。
そんなわけで、ランニングを続けています。