白樺小舎便り(しらかばごやだより)

北信濃の田舎暮らしの日々

少しずつ少しずつよろめきながら それでも前へ  第七回そば教室

2020年12月13日 16時24分28秒 | 日記

五月から月一回開催してきたそば教室は、義兄の不幸があり、今日に延期になった。
最初から参加されているO氏、数回参加されているN氏、二回目の参加のR子さん、それに一応講師の私。
数日前、この村でもとうとうコロナの感染者が出て、翌日二人目の感染者が出た。誰かという詮索もしたくないので、ひたすら注意するしかない。
狭い台所が会場なので、換気扇を回し、窓を少し開け、互いの距離を取り、
マスクをして、手洗いをして、これ以上ないくらいの対策をしてのそば教室。
万全を期して、打ったそばの試食会は中止。

そば粉とつなぎ粉、水の計量をして打ち始める。
二八そばで加水率は四十四%。見ていると最初の加水は八分くらいのところをどうしても遠慮して少な目になり勝ちなので、もっと大胆に加水するよう進言。
攪拌は以前に比べればかなりスムーズになった。
信州産の新そばなので、豊かなそばの香りが立ち上る。
新そばは十一月から二月頃までが旬。
各自のそば粉の具合を見ていると、はっきり違いが判る。同じ水を加えてかき混ぜているのに、どうしてこんな違いが出るのだろう。均等に水を吸ってしっとりしているもの、いつまでも粉がばらばらで乾いた感じのもの、大きな粒と小さな粒が混じっているもの、三者三様だ。
多分、ここで時間をかけ過ぎているなと思うが、いたずらに焦らせてもいけないので、個別に注意しながら菊練りから鏡餅状にまでまとめる。
手延しから、麺棒を使った丸延しと進む。
丸くなることより同じ厚さになることが優先と伝える。丸くするのは場数を踏んで練習するしかない。
さて、ここからが問題なのだが、丸い麺帯を四角にする角出しという作業が手順も含めてうまく理解されていないようなのだ。
過去に何度もやっているのに、さてこれからどうするんだっけという状態になる。教え方が悪いのだろうか。丸い麺帯を麺棒に巻いて転がすと、中心部に一番圧がかかり、薄く引き伸ばされる。前後逆にして転がすと伸ばしたときには木の葉状になる。縦横四回転がせば四角になる。中心部は対角に薄く引き伸ばされたので、残った辺の部分は厚みが残っている。
実演も交え、肉分けの作業。
猫手といって、指を丸めて掌に吸い付くような感覚で麺棒を操る。麺棒が自在に動く感覚は陶酔すら覚える。麺棒外のままに動いて麺帯を伸ばしていく。掌で麺帯をなぞって厚いところと薄いところを探り麺棒を操る。人間の指の感覚は驚くほど敏感だ。他人が打っているそばをついつい自分で打ち進めてしまう。これでは練習にならない。
この辺りの一連の作業は難しいのだろうか?自分にはわからない。自分ではいつもイメージトレーニングで加水の攪拌から菊練り、丸出し、角出し、肉分け、仕上げ延し、そして畳みまで、一連の作業としてやっていた。次どうするんだっけ、はなかった。
自分で道具を用意した参加者もいる。教えるときに麺棒を使ったのだが、転がしてみると完全な丸が出ていない。さらに柱に当ててみると中央の節のところから大きく曲がっている。これではうまく伸せない。中古で安く仕入れたというが、使えない。ホームセンターで手すりの棒を買ってきて自作することを進める。道具は武士にとっての刀と同じ。手入れを欠かさず、磨き、魂を込めなければならない。
畳み方も、どうやるんだったっけ。
月に一度程度では無理もないのかな。
趣味でやることなので、楽しさが一番大事だ。丁寧に畳み方を伝える。
それでも、包丁さばきは見違えるほどうまくなっている。切り幅が太いなりに揃っている。それぞれに進歩がある。

五月のコロナ騒ぎの中、呼びかけに応えてそば打ちを始めてくれた人たちに感謝しかない。良く続いたものだ。
『年越しそばを自分で』を掲げてここまで来た。
そばを打ち終わった後、感想を書いてもらった。
何もかも忘れて集中できる。
楽しみが増えた。
打つ上がった時嬉しくなる。コロナが収まり、もっと多くの人が参加できたらいい。
そばの香りと優雅な時間を楽しみ心が豊かになる。
等々。
地域の一番大事な役割は、コミニュティの場になることだ。その一環としてのそば打ちは十分区から補助金をもらうに値する。区の規約に、同好会には年二万円の補助金を出すとなっている。来年度は同好会にして補助金をもらい、そば打ち道具セットを揃えよう。最初はそばを食べに来て打ったそばについて批評をしてくれるだけでもいい。そのうちに自分も打ってみたくなったら始めればいい。ゆるーいものにして十人くらい確保しよう。
そんな話をした。
年越しそばを自分で打つために、二十九日に集まってみんなで打つことに決まった。
自分では数十人分を打つので、三十日に個人で打つことにしよう。
コロナ禍の中で船出した我々は、よろよろしながらも前へと進んでいるようだ。





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