当ブログ2013.1.26「NHK会長 この程度の知性で務まるのか?」で、NHK新会長の籾井勝人(もみい・かつと)氏のお粗末な歴史認識(*従軍慰安婦問題など)と公共放送会長としての自覚の無さについて述べた。
なぜこの会長が誕生したのか? NHKの12人の経営委員によって投票で選ばれたからだ。では、経営委員らはどのように選ばれるのか? ホームページ「NHK経営委員会」を見ると、<委員は、国民の代表である衆・参両議院の同意を得て、内閣総理大臣により任命されます>とある。
安倍晋三内閣総理大臣は昨年(2013年)11月、NHKの4人の経営委員を自身の「お友達」(*価値観が近い・親しいなど)に替えて就任させた。そして、経営委員会での投票で、安倍首相に価値観・歴史観の近い籾井氏が新会長に選出された、ということだ。
案の定、2014.1.25に行なわれた籾井会長の就任記者会見で、早くもボロが露呈した。
ことは、それだけでは終わらない。昨年11月に就任した安倍首相の4人の「お友達」経営委員のうち2人についても、その価値観・歴史観の偏狭ぶりが、次々と露呈したのだ。
1人は、『永遠の0(ゼロ)』などの著書があるベストセラー作家の百田尚樹氏だ。百田氏は2014.2.3に、東京都知事選(2014.1.23公示、2.9投開票)で立候補している田母神俊雄氏(元航空幕僚長)の応援演説を行なった。
「応援演説をする」こと自体の問題も指摘されているが、その「演説内容」がまたひどいものだ。以下は、その一部。
<1938年に蒋介石が「日本が南京大虐殺をした」とやたら宣伝したが、世界の国は無視した。なぜか。そんなことはなかったからだ。戦後、東京裁判で突然、亡霊のごとく南京大虐殺が出てきた・・・>
*「東京新聞」2014.2.5(朝刊)「百田NHK経営委員 発言要旨」参照
「東京新聞」2014.2.5(朝刊)「百田氏 都知事選候補応援 NHK 経営委員も物議」
百田氏の南京大虐殺(南京事件)に関する話は、ほとんどがデタラメだ。救いがたい人だ。
南京事件については、中国人被害者側・日本人加害者側双方の膨大な証言記録が残されている。また、日本の新聞記者やカメラマンが集団虐殺を目撃した記録や、欧米の新聞記者の目撃記事も残されている。[A]
「ニューヨーク・タイムズ」1937.12.18付の記事(F=T=ダーディン記者)や「シカゴ・デイリー・ニューズ」1937.12.15付&1938.2.4付の記事(A=T=スティール記者)などを参照されたい(*南京事件調査研究会編訳『南京事件資料集① アメリカ関係資料編』青木書店・1992年、参照)
特に米国に於いては、南京事件の発生直後から、上記記事を含めてかなり報じられた。米国人のジョン=マギー牧師は、南京事件の現場に居合わせ、16ミリフィルムで南京の惨状を撮影した。このフィルムはコピーされ、上映会が1938年以降に頻繁に米国各地で行なわれた。
つまり、少なくとも米国内では、南京事件発生直後から広く報じられていたのだ。「日本で当時報じられなかった」から「南京大虐殺はなかった」ということにはならない。そんなことは、子どもでも分かることだ。
多角的な証言記録や物的証拠をもとに、これまで南京事件に関する調査・研究が進められてきた。個々の事例の再検証はありえても、「南京事件全体の否定」は学問的に成り立たないのだ。[B]
日中両政府の合意に基づく日中歴史共同研究の日本側「報告書」(2010年)でさえ、不十分な事実認定と分析ながら、南京事件について「集団的、個別的な虐殺事件が発生し」たと認めている。[C]
もしそういったことに異議があるならば、感情論ではなく、これまでの調査・研究・取材を前提に、論理的に自説を発表すべきだ。[D]
*上記A~Dの段落は、『週刊金曜日』2012.3.2号に掲載の拙稿(星徹)「河村市長「南京事件否定論」の貧困」(金曜アンテナ)の文章を一部利用した。
また、もう1人の「お友達」経営委員の長谷川三千子氏(埼玉大学名誉教授)も、救いがたい人だ。
「毎日新聞」web 2014.2.5「NHK経営委員:新聞社拳銃自殺事件を礼賛」
長谷川氏はまた、「産経新聞」の「正論」(コラム)の中で、仕事は男性で育児は女性という「性別役割分担」が合理的、などと主張した。
「産経新聞」2014.1.6【正論】「年頭にあたり・・・」(長谷川三千子)
「朝日新聞」2014.1.28 web「「女は家で育児が合理的」 NHK経営委員コラムに波紋」
安倍首相とその「お友達」は、価値観・歴史観が近いようだ。この程度の首相にして、この程度の「お友達」、ということだ。
安倍首相の「お友達」攻勢は、NHK関連に留まらず、各方面に及んでいる。そして、その害毒は日本の中枢部に行き渡り始めている。首相の私的諮問機関も、「お友達」の巣窟だ。
*当ブログ2013.10.21「自作自演 安倍首相の私的諮問機関」参照
こういった害毒を一刻も早く断ち切る必要がある。そのためには、やはりその「大本」を権力の座から退場させるしかない。
[*2014.2.6 加筆]
なぜこの会長が誕生したのか? NHKの12人の経営委員によって投票で選ばれたからだ。では、経営委員らはどのように選ばれるのか? ホームページ「NHK経営委員会」を見ると、<委員は、国民の代表である衆・参両議院の同意を得て、内閣総理大臣により任命されます>とある。
安倍晋三内閣総理大臣は昨年(2013年)11月、NHKの4人の経営委員を自身の「お友達」(*価値観が近い・親しいなど)に替えて就任させた。そして、経営委員会での投票で、安倍首相に価値観・歴史観の近い籾井氏が新会長に選出された、ということだ。
案の定、2014.1.25に行なわれた籾井会長の就任記者会見で、早くもボロが露呈した。
ことは、それだけでは終わらない。昨年11月に就任した安倍首相の4人の「お友達」経営委員のうち2人についても、その価値観・歴史観の偏狭ぶりが、次々と露呈したのだ。
1人は、『永遠の0(ゼロ)』などの著書があるベストセラー作家の百田尚樹氏だ。百田氏は2014.2.3に、東京都知事選(2014.1.23公示、2.9投開票)で立候補している田母神俊雄氏(元航空幕僚長)の応援演説を行なった。
「応援演説をする」こと自体の問題も指摘されているが、その「演説内容」がまたひどいものだ。以下は、その一部。
<1938年に蒋介石が「日本が南京大虐殺をした」とやたら宣伝したが、世界の国は無視した。なぜか。そんなことはなかったからだ。戦後、東京裁判で突然、亡霊のごとく南京大虐殺が出てきた・・・>
*「東京新聞」2014.2.5(朝刊)「百田NHK経営委員 発言要旨」参照
「東京新聞」2014.2.5(朝刊)「百田氏 都知事選候補応援 NHK 経営委員も物議」
百田氏の南京大虐殺(南京事件)に関する話は、ほとんどがデタラメだ。救いがたい人だ。
南京事件については、中国人被害者側・日本人加害者側双方の膨大な証言記録が残されている。また、日本の新聞記者やカメラマンが集団虐殺を目撃した記録や、欧米の新聞記者の目撃記事も残されている。[A]
「ニューヨーク・タイムズ」1937.12.18付の記事(F=T=ダーディン記者)や「シカゴ・デイリー・ニューズ」1937.12.15付&1938.2.4付の記事(A=T=スティール記者)などを参照されたい(*南京事件調査研究会編訳『南京事件資料集① アメリカ関係資料編』青木書店・1992年、参照)
特に米国に於いては、南京事件の発生直後から、上記記事を含めてかなり報じられた。米国人のジョン=マギー牧師は、南京事件の現場に居合わせ、16ミリフィルムで南京の惨状を撮影した。このフィルムはコピーされ、上映会が1938年以降に頻繁に米国各地で行なわれた。
つまり、少なくとも米国内では、南京事件発生直後から広く報じられていたのだ。「日本で当時報じられなかった」から「南京大虐殺はなかった」ということにはならない。そんなことは、子どもでも分かることだ。
多角的な証言記録や物的証拠をもとに、これまで南京事件に関する調査・研究が進められてきた。個々の事例の再検証はありえても、「南京事件全体の否定」は学問的に成り立たないのだ。[B]
日中両政府の合意に基づく日中歴史共同研究の日本側「報告書」(2010年)でさえ、不十分な事実認定と分析ながら、南京事件について「集団的、個別的な虐殺事件が発生し」たと認めている。[C]
もしそういったことに異議があるならば、感情論ではなく、これまでの調査・研究・取材を前提に、論理的に自説を発表すべきだ。[D]
*上記A~Dの段落は、『週刊金曜日』2012.3.2号に掲載の拙稿(星徹)「河村市長「南京事件否定論」の貧困」(金曜アンテナ)の文章を一部利用した。
また、もう1人の「お友達」経営委員の長谷川三千子氏(埼玉大学名誉教授)も、救いがたい人だ。
「毎日新聞」web 2014.2.5「NHK経営委員:新聞社拳銃自殺事件を礼賛」
長谷川氏はまた、「産経新聞」の「正論」(コラム)の中で、仕事は男性で育児は女性という「性別役割分担」が合理的、などと主張した。
「産経新聞」2014.1.6【正論】「年頭にあたり・・・」(長谷川三千子)
「朝日新聞」2014.1.28 web「「女は家で育児が合理的」 NHK経営委員コラムに波紋」
安倍首相とその「お友達」は、価値観・歴史観が近いようだ。この程度の首相にして、この程度の「お友達」、ということだ。
安倍首相の「お友達」攻勢は、NHK関連に留まらず、各方面に及んでいる。そして、その害毒は日本の中枢部に行き渡り始めている。首相の私的諮問機関も、「お友達」の巣窟だ。
*当ブログ2013.10.21「自作自演 安倍首相の私的諮問機関」参照
こういった害毒を一刻も早く断ち切る必要がある。そのためには、やはりその「大本」を権力の座から退場させるしかない。
[*2014.2.6 加筆]