読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

黒須紀一郎著「羊の十字架」

2010-12-19 | か行
舞台は終戦から2年がたった東京。
主人公はとび職で火消しの小頭の家柄に生まれた当時18歳の印地三郎。
ある日突然アメリカ兵のジョージ・アダムスが「先祖の話を聞きたい」と訪ねてきた。
アダムスが言うには「肥前平戸の藩主松浦静山の書いた『甲子夜話』に”羊の十字架”の話が載っていたのです。わたしは衝撃を受けました。なんと七世紀か八世紀の頃、既に日本にキリスト教が入っていたのです。ザビエルが持ち込むよりも八百年以上も前です…。」(17P)
やがて三郎は週休10$で「羊の十字架」を探す手伝いをすることに・・・。
景教・弓月国・ウラル・アルタイ回廊・古代渡来人・大本教・占い師弓月赤丸等々・・・
定説の歴史観を揺るがす荒唐無稽とも思える新歴史説を何の知識もなかった三郎の成長に合わせて解き戦後の混乱期の風情を織り込みながら物語の中で読者に説いていく。読み終わるころには日本人のルーツは古代キリスト教徒がユーラシア大陸の西からやって来たのではないか思えてくるではないか。
謎の古代豪族=秦氏の出自を辿りつつ時空を超えて、古代日本人のルーツを探りつつ日本国家の起源を探る壮大な歴史ミステリーです。


2010年11月 作品社刊

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