経済小説。主人公は東証一部上場会社の社長の椅子を巡った権力争い巻き込まれた秘書室長弓波博之(53歳)。従業員5300人を擁する一部上場企業ジャパンテックパワー(JTP)。日本の将来を背負って、再生可能エネルギーの送電施設を開発・運営する期待の企業である。株主総会を間近に控えたある日、社長が失踪。それに端を発した後継者争いが激化していく。混乱を極める会社に追い討ちをかけるように、物言う株主中国系ファンドの介入も噂されはじめた。週刊誌「週刊東京」が会社のスキャンダル記事が掲載されが注目を集め・・・。
「あなた方は数字の話ばかりするが、会社を動かすのは社員の心だ」「人を思いやり、利欲にとらわれず、なすべきことをなし、約束を守り誠実でありたい。・・・功徳を求めず、小果、煩悩による善になど目もくれない達磨」(P200)醜い派閥争いの結果主人公の下した決断とは。自分のサラーリーマン時代を思い出し面白かった。
「贅沢にはお金が必要だけど穏やかな日々に必要なのは心でしょ」(P293)という妻の言葉に救われた思い。
2022年4月角川春樹事務所刊
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