読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

平山 瑞穂著「マザー」

2011-01-21 | は行
ケータイメール添付されたそのソフトを使い強く念じれば誰でも一度に一人だけ「自分とっての理想の人物」を生み出せるという。
主人公は高校卒業と同時に上京し吉祥寺でストリートライブでおぼろげな記憶の中にいる「彼」を歌う18歳の佐川夏実。
そしてもう一人は大学のサークルで世の中に流布する都市伝説を研究する伊神雄輝。
佐川夏実はおぼろげな記憶の中にいる彼との写真はあるが、それが誰なのか夏実には思い出せないもどかしさを『不在証明』という歌に託して歌っていた。
一方、伊神雄輝にとってもっぱら最近の話題は、「イレイザーヘッド」(鉛筆の頭についている消しゴムのこと)。この組織によりある人物の記憶をすべて消されるという都市伝説だった。
あるとき雄輝の携帯に奇妙なソフトが届く・・・。
普段使わない難解なカタカナ言葉「アドミニストレーター」「エディター」「マザー」
「オルタナティプ」などが繰り返し使われ読み難いが、
二人の経験した奇妙な体験と周りで起きる現象の原因である不思議なソフトを追及するうち明らかになる真相は説得性があり妙にリアルで、ありそうな話しみたいだった。
理想のひとに「書き換えて」作りだされた人の裏にはそれによって消された人があったり、本来持っていた性格を失くした人がいるということ。
それはその人にとっての理想の人であって万人にとっての理想の人にはなりえないそれはある意味人格の否定でしかない。
「人格」とは「理想の人」とは何かを考えさせられたファンタジーミステリー小説でした。

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