読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

篠田節子著「スターバト・マーテル」

2010-03-31 | 篠田節子
Stabat Mater、とは「悲しみの聖母」「聖母哀傷」と約され26歳で亡くなったナポリ派の天才ベルゴレージの死の間際に書き残した曲=作中で車の中で2人が聴くクラシックCDから。
乳癌を機に、生と死を見つめるようになった彩子。
乳癌と診断されながらも、除去手術で完治したように見えるなか、再発の陰に怯えて不安定な日々の彩子は夫から勧められた会員制プールに通い始める。
そこで声をかけられたのが、中学校時代の同級生・光洋だった。
早熟で独特の雰囲気を放っていた男との30年ぶりの思わぬ再会に彩子は、心の奥底にしまっていた、あの「過去」を思い出す。
さらに夫のなにげない言葉が、時を隔てた再会に微妙な色合いを与えて・・・。
40代になり子供のいない主婦の“静かな哀しみ”の心理を丁寧に描いた前半と違い後半は
匠の技術の海外流出や産業スパイがらみのミステリーサスペンスの様相で吹雪の逃避行の2人の成り行きに俄然面白さが増す。
表題作の他、マレーシアでのリゾートでの友人の結婚式での騒動をコミカルに描いた「エメラルド アイランド」を収録。
2010年2月 光文社刊



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