読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

吉田修一著「国宝(下)花道篇」

2022-06-13 | や・ら・わ行
歌舞伎界の女形主人公の、立花喜久雄のその後。理不尽ないじめや、あることないことを書き立ておるマスコミにも耐え、どこか陰のある雰囲気が美しい容姿と相まって、まさに完熟の域に達した、喜久雄30代半ばから、還暦を迎え、遂に頂点に登りつめ国宝となるまで。かつて眩しいほど前を歩いていた先輩女形の末路や、主人公の人生を囲む登場人物一人一人の生き様や行末がどうなるかと気になる展開に引き込まれます。上手くなりたいとの一心で、全力で技を磨き、道を究めようとするあまり、一人究極の世界に突き進む喜久雄。主人公が求めていた世界にたどり着いたとき、その完璧な芸の世界を超えてしまったとき・・・。舞台、映画、テレビと芸能界の転換期を駆け抜け、数多の歓喜と絶望を享受しながら、その頂点に登りつめた先に、何があるのか興味は尽きなく次の展開が楽しみで、波乱万丈の人生に歌舞伎の世界にけっして詳しくないが一気読み出来ました。しかし、主人公にあまり面白味や感情移入は出来ず、むしろ脇役の徳次の個性や生き方に興味がわいた。
2019年9月朝日新聞出版刊  


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