死者と生者が寄り添って生きる山の日常と熊野山村の盛衰を描いた民俗伝奇小説。
古道を踏むといつしか出会う異形の世界は、巡礼路で善根宿を営む女性「おえん」の、明治のころの回想・・・「納札のある家」。
那智の近くの山中の集落を廻る山の郵便脚夫岩次郎は南方熊楠の植物採集を見たこともあったのだが配達人の途中、
亡くした子と山中で出会う・・・「亡者の辻」。
東日本大震災と、明治の三陸大津波、戦後すぐの南海大地震の津波とが重ねられる栗の壺杓子屋晃太郎・・・「栗の壺杓子(つぼじゃくし)」。
修験道の開祖・役行者の弟子の子孫で名字に「鬼」の字を持ち、大峯奥駈け道の宿坊「小仲坊」を守る男。
五鬼助義とも・修験者の最後の宿坊を守りとおした五郎の生涯を回想した表題作他3つの中編。
便利になって今はもう失われてしまった古来の山の生活、異界を身近に感じ、死者とも共生する人々の心根が静かに何気に描かれて何故か印象に余韻が残る読後感でした。
何回か歩いた熊野古道のあの静寂を思い出した。
2014年8月新宿書房刊
古道を踏むといつしか出会う異形の世界は、巡礼路で善根宿を営む女性「おえん」の、明治のころの回想・・・「納札のある家」。
那智の近くの山中の集落を廻る山の郵便脚夫岩次郎は南方熊楠の植物採集を見たこともあったのだが配達人の途中、
亡くした子と山中で出会う・・・「亡者の辻」。
東日本大震災と、明治の三陸大津波、戦後すぐの南海大地震の津波とが重ねられる栗の壺杓子屋晃太郎・・・「栗の壺杓子(つぼじゃくし)」。
修験道の開祖・役行者の弟子の子孫で名字に「鬼」の字を持ち、大峯奥駈け道の宿坊「小仲坊」を守る男。
五鬼助義とも・修験者の最後の宿坊を守りとおした五郎の生涯を回想した表題作他3つの中編。
便利になって今はもう失われてしまった古来の山の生活、異界を身近に感じ、死者とも共生する人々の心根が静かに何気に描かれて何故か印象に余韻が残る読後感でした。
何回か歩いた熊野古道のあの静寂を思い出した。
2014年8月新宿書房刊
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