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読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

逸木裕著「風を彩る怪物」 

2025-04-01 | あ行
オルガンビルダーという特殊な仕事、それに関わる周囲の人々の音楽小説。主人公は19歳の音大志望のフルート奏者名波陽菜と同じ19歳の権威あるパイプオルガン職人芦原幹の娘芦原朋子。困難を前にして目標を見失いかけていた2人が、必死でオルガン作りに向き合おうとするなかで、刺激し合い、確固とした進むべき道を見出していきます。二人がパイプオルガン制作で様々な人と出会い、自らの進む道を見つけていく。音大受験に失敗した陽菜は自信を取り戻すため、姉の亜希の住む自然豊かな田舎・奥瀬見に来ていた。フルートの練習中に出会ったのは、オルガン制作者の芦原幹・朋子親子。やがて朋子とパイプオルガンの音づくりを手伝うことに。だが、次第にオルガンに惹かれた陽菜はこのままフルートを続けるべきか迷ってしまう。中途半端な姿に朋子は苛立ちを募らせ、二人は衝突を繰り返す。そんな中、朋子に思いもよらぬ困難が押し寄せる。朋子の母はオルガン奏者だったが、オルガンの演奏中にオルガンの下敷きになって死んだのだ。そして、父の幹も亡くなった。それでも朋子は絶望に打ちひしがれながら、オルガン制作を続けるか葛藤し、父と一緒に作っていたオルガンを完成させる決心をする。やがて朋子は音の「怪物」を探しに風雨の森の中に入っていくのだが・・・テーマは一貫して「音」。自然界に存在する音の世界と、パイプオルガンという人工物の奏でる音の織りなすドラマ。ラスト向け一挙に伏線が回収される様は、ミステリーのごとくとても爽快。目標を見失いかけていた2人が、必死でオルガン作りに向き合おうとするなかで、刺激し合い、確固とした進むべき道を見出していきますが、それを邪魔する出来事も起き果たしてオルガンを完成させることはできるのか。クラシュック音楽や音の話は難しいが感動の展開で一気読みでした。
2022年6月祥伝社刊 

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