チェーン・ディザスターズとは、災害の連鎖。近未来小説。
長年危惧されていた南海トラフ巨大地震が発生し、日本列島の太平洋岸は壊滅状態に。若き環境大臣・早乙女美来は、特に被害が大きかった愛知へ向かった。名古屋では、地元IT企業「ネクスト・アース」がAI技術を駆使して開発した〈エイド〉によって、迅速な行方不明者の捜索と救助、避難所運営がおこなわれていた。追い打ちをかけるように東京直下型地震が発生。さらに8月には、過去最大級の大型台風が首都圏を襲う。東京のビル群は崩れ落ち、閣僚の大半が亡くなり、緊急事態に対応するため美来が史上最年少で総理大臣に抜擢される。しかし、絶望的な状況で、ついには富士山噴火の予兆が見え始め・・・。若干33歳初の女性総理・早乙女は、ネクスト・アースのCEO・利根崎に協力を仰ぎながら、日本最大の危機に立ち向かう。最優先すべきは”人命第一”だ。”全力で国民を護る”ために、総理がリーダーシップを発揮する。
南海トラフ巨大地震に直下型地震、巨大台風、富士山大噴火と、続発する自然の脅威。日本売り逃げ出す海外資本。東京一極集中のツケが。古い体質のしがらみを断ち陣頭指揮で国民を納得させ、外国をも認めるようなリーダーが現れる可能性はあるのだろうか。生きてさえいれば、内陸への首都移転で希望の光は見えただろうか。個々に想像力と心構えが必要だということだろうか。
2024年11月集英社刊
